内容説明
神はその瞬間、人々に試練を与えた。“20世紀最後の巨匠”“タルコフスキー以降、最も重要なロシア映画監督”と評されるソクーロフが、生と死の孤独、ロシアの悲劇、そして映画、芸術、神などをめぐってすべてを語る、魂の深みからの黙示。
目次
人類の記憶、生命の過去
物質が浸透しあう瞬間
映画の光は神から来た
『オリエンタル・エレジー』
語りすぎないこと
宇宙のリズム、映画のリズム
物質のいのち
何が日本に導いたのか
日本の喜劇性
ロシア社会の最大の罪〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
17
ソクーロフ特集でソクーロフの映画を何本か観たので理解のために。ソクーロフの映画でいつも居眠りしてしまうのだが、それでも印象に残る映画なのが不思議だった。それは何故だろうと思ったらソクーロフの映画は情報を伝える映画ではなく絵画のように印象を刻む映画なんだと思えた。それは自然=神、堕天使=人間というような世界を改変していく堕天使としての人間の歴史性を描いているのだがその中に奇跡的に天使的な人物に視線を注ぐ。魂の声とは、そういう天使的人物の沈黙であり、物質の夢というのは現世の物質社会ということ。2023/06/25
arekcey
2
ソクーロフ作品をいくつか連続して観たのでこの機会に再読。数年前に読んだ時は前田英樹の御託がごちゃごちゃしてて読むのに苦労したので、今回はソクーロフ言葉だけを読んだ。そしたらこれがべらぼうに面白くて一気に読んでしまった。前田英樹の部分を飛ばしてもなんの支障もないというのが何とも。 ソクーロフの純情さも前回読んだ時は気恥ずかしさを感じたが今回はむしろ優しさと誠実さとして素直に受け止められた。2018/05/27