二時間のゴッホ―名画がわかる、天才が見える

西岡 文彦【著】

河出書房新社（1995/12発売）

• サイズ A5判／ページ数 157p／高さ 21cm
• 商品コード 9784309262666
• NDC分類 723.359
• Cコード C0071

目次

１　ゴッホの「白」―原色に混じる白が見えれば、ゴッホの色はわかる
２　失われた『寝室』―日本人の買ったゴッホが、オルセー美術館にある理由
３　影のない絵―ゴッホが「西洋浮世絵」に見えれば、南仏の光が見えてくる
４　生き急ぐタッチ―ゴッホが自作を「速記術」とみなした理由
５　印象派を超えて―多彩な作風を眺めれば、理論家ゴッホが見えてくる
６　アルルの惨劇―ゴッホが自分の耳を切り落とした理由
７　燃え上がる糸杉―タッチの渦巻く理由がわかれば、ゴッホの目で世界が見える
８　甦る『ひまわり』―ゴッホの名声が、死後に確立した理由

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

[Yoshihiro Yamamoto]

A＋　私が読んだ「謎解きゴッホ」はこの「二時間…」の文庫版だと思う（読書メーターに未登録）。神戸博物館で開催中の「大ゴッホ展」を見るための予習。ゴッホは好きで、若い頃からよく見てきたが、この本に書いてあるゴッホの絵に秘められた「宗教的な意味（特にひまわりの絵）」のことや、10年で2,000点もの絵を描いた「早描きの技法」のこと、「白絵の具の多様」で浮世絵のようなマット感を出し、極端な色彩を全体的に統一させた技法など、全く知らなかったことが分かりやすく記載されていた。こういう深掘りをすると鑑賞が楽しくなる。

2025/11/05

[なおた]

本のタイトルに『二時間のゴッホ』とあったが、読了には1時間と掛からなかった。西岡文彦という著者の眺めるゴッホは、今までに様々と渉猟してきたゴッホに関わる本に書かれていた内容とは違って、独特でいて、そして的を得た発言が多いような印象を受けた。特に、ゴッホの描き方（タッチ）に関する説明には、納得させられる説得力が、短い文章のなかに宿っていたので驚いた。本書の副題「天才が見える」は誇大なものではなく、本書を読めば納得である。良い読書体験でした。

2021/10/16

[Yasunobu Hino]

手ひどい失恋を繰り返し、画商、伝道師というしょくぎょに挫折したフィンセント・ファン・ゴッホが極貧のなかで画家を志したのは27歳の時。ピストル自殺を遂げるのが37歳。画家として送った人生はわずか10年。その代表作の大半は晩年の3年間に描かれている。 2日に1点のペースで絵画史を塗り替える傑作群を生み出しながら、伝説化した狂気の天才としての生涯の最大の事件をも引き起こしている。「生き急ぐ」あまりに、死に向けて驀進してしまった生涯。 ゴッホの生涯についても解説されており、絵画に詳しくなくても楽しめる。「僕は

2014/08/28

[★★★★★]

そもそも、なぜ二時間でわかろうとするんだろう。

[マシロット]

耳切り事件とか拳銃自殺とかはしっていたけどゴッホがこんなにも激しく寂しい人物だとは知らなかったのでこの本を読めて良かった。弟テオとの兄弟愛は凄い。恋愛はうまくいかなかったけれど愛し合える家族がいたのは幸せなことだと思う。１０年で何百点もの絵を描いた情熱はすごい

2021/08/23