内容説明
時を越えるまなざし。初公開の創作メモ、ゴダールとの対話、都市・メディア論。「映像の詩人」ヴェンダースが物語をつくる夢の力を論じ、思索家としての姿を表わした全ての創造的行為に関心を持つ人々のための書。
目次
夢の涯てまでも
時間=旅行
見るという行為
運動を知覚すること
映像の真実
真実を要求することのない革命
ハイ・デフィニション〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
30
撮影する哲学者にして、移動し続ける映画監督。ヴェンダースの言葉は淡々としていて、政治について果敢に語られるがこちらを扇情しようとする色気や俗っぽさはない。日本の文学者で言えば、池澤夏樹みたいなスタンスだろうか。今回(ほぼ二十年ぶりくらいに)読み返して、彼の哲学は意外とロラン・バルトに通じるところがあるのではないかと思った。都市を語り、モードに言及し、もちろん映画を愛する。バルトをヴェンダースが読んでいたかは分からないが……翻訳は平易で、ヴェンダースの人柄が伝わって来る。ゴダールとの対話も貴重で読ませられる2019/11/29