出版社内容情報
クリスマス・イヴの夜中、少年は不思議な列車に乗って世界のてっぺんについた――。豊かな色彩のパステル画がイマジネーションをふくらませ、私たちの心に何かを訴えかけてくる。
著者
C・V・オールズバーグ (オールズバーグ,C・V)
1949年、アメリカ・ミシガン州生まれ。ミシガン大学、ロードアイランドデザイン学校で彫刻を学ぶ。彫刻と絵画は、ホイットニー美術館や近代美術館に展示されている。『急行「北極号」』で1986年度コルデコット賞受賞。ほかに『ジュマンジ』(ほるぷ出版)など多数。
村上 春樹 (ムラカミ ハルキ)
1949年、京都府生まれ。早稲田大学文学部卒業。著書に『ノルウェイの森』(講談社)、『海辺のカフカ』(新潮社)、訳書に『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(白水社)、『西風号の遭難』にはじまるオールズバーグ作品など多数。
内容説明
光の魔術師オールズバーグが描くクリスマス・イヴの神秘と不思義。カルデコット・メダル受賞。アメリカ図書館協会選出図書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MI
94
クリスマスの絵本が読みたくて借りた図書館本。クリスマスに夜外から声がする。僕は外を見ると、列車がきている。パジャマにガウンを羽織って電車に飛び乗る。電車には僕と同じぐらいの子供たちがパジャマで乗っていた。そしてそこでソリに乗ったサンタと出会う。サンタさんから「君は何が欲しい?」と聞かれる。なんでもくれるような気がした。一晩の夢の急行北極号。今年もまた子どもたちを乗せて走り出す。2023/12/09
ぶんこ
37
子供の家の前まで横付けしてくれる列車に乗って行った先は「北極」。そうか、サンタクロースは北極に住んでいるのか。サンタさんからのプレゼント第1号に選ばれた(僕)が欲しいのは橇に付いている鈴。なんて欲のない素敵な子どもなのでしょう。鈴の音は大人には聞こえないようです。聞こえていた子どもも年とともに聞こえなくなってきたのですが(ぼくえ)には聞こえていました。純真だからなのでしょうか。いじらしい男の子のクリスマスのお話でした。2019/04/28
彼岸花
30
最後まで、ワクワクドキドキが止まらない。家に横付けされた『北極号』。進路は北へ。クリスマスイブの夜、僕をのせて列車は走り続ける。「私もつれて行って。」と思わず叫びたくなった。雪がしんしんと降り続く中、やがてサンタが住む北極点へたどり着く。一夜限りの夢のような出来事。確かに存在した町、確かに手にしたソリの銀の鈴のプレゼント。「信じる気持ち」を持ち続け、子どもの純粋さを失わない。大人になっても僕だけが聞こえる鈴の音。どれほど美しい響きだろう。原画とは違い、淡くほのぼのとした世界観を表現している絵のようだ。2021/12/31
ヒラP@ehon.gohon
13
幻想的なお話です。クリスマスの読み聞かせ候補。2016/12/13
ヒラP@ehon.gohon
9
この物語は、クリスマスにピッタリの絵本ではある。 しかし、ストーリーと絵が微妙にずれているのはなぜだろう。 とてもハイグレードな味わいである。 そして、最後の鈴だけがやけにはっきり見えている。 子どもの心に響く鈴。大人には聞こえない音。 そうなのです。クリスマスは子どもの心でこそ幻想的で神秘的。 サンタクロースの住む北極点にまで行けてしまう。 この本は、少し赤みのある灯火の下でじっくりと読み聞かせるのに向いているような気がします。 2010/01/04