内容説明
町のはずれの空き地に住む大きな水牛、台所の戸棚の中に暮らす小さな交換留学生、旧式の潜水服を着てデリに入っていこうとする人物、屋根裏部屋から通じる季節が反対の“隠し中庭”、地図にない場所への冒険旅行…平凡でありながらどこか非現実的な場所をめぐるさまざまな物語。
著者等紹介
タン,ショーン[タン,ショーン] [Tan,Shaun]
1974年、西オーストラリアのフリーマントル生まれ。絵本作家・アーティスト。2006年に発表された、文字のない絵本『アライバル』はアングレーム国際漫画祭最優秀作品賞を受賞し、ショーン・タンの名を世界に知らしめた。さらに、2010年はじめて絵と文章の両方を手がけた絵本『ロスト・シング』を自ら監督し映像作品を発表すると、翌年第83回アカデミー賞短編アニメーション部門を受賞。『遠い町から来た話』でドイツ児童文学賞、アデレード文学賞最優秀賞、アストリッド・リンドグレーン記念文学賞など、世界的な賞を数多く受賞して全世界から注目された
岸本佐知子[キシモトサチコ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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manabukimoto
2
私たちと彼らとを繋ぐ異世界譚、と思いきや、そうでない話もちらほら。読み終えると、「遠い町」の話が、私の内なる声にも思えてくる不思議な話たち。 「水牛」確実な道標を指し示す存在。軽んじ喪失し始めて気付く掛替えのなさ。 「遠くに降る雨」発せられ彷徨うことばの断片が詩の塊となって頭上を彷徨う。やがて詩の塊は破裂に頭上から言葉が降り注ぐ。この作品が一番好き。 「名前のない祝日」トナカイに自分の好きな物を捧げる、クリスマス恩返し。 凝りまくった装丁デザインと素晴らしい挿絵。 良き本。 福井県立図書館 蔵書2025/04/27