出版社内容情報
注目著しい謎の絵師・若冲。その画業、魅力のすべてを多くの図版とともに解き明かす。第一人者による書き下ろし決定版。
内容説明
「私の画の価値がわかる者を千年待つ」と若冲は言った。現時点でもっとも新しくもっとも詳しい若冲の評伝。最先端の研究家による書き下ろし決定版!
目次
第1章 市場の画家(自然を見る眼、私なるもの;生家と家族 ほか)
第2章 模写と写生―初期作品(大典の証言;狩埜氏の技を為す者 ほか)
第3章 「動植綵絵」―制作の経緯と表現の特色(藤景和画記;賣茶翁 ほか)
第4章 黒の若冲―水墨画・版画、「綵絵」以後(墨ならではの表現へ;鹿苑寺大書院障壁画 ほか)
第5章 物好きの晩年、そして没後(天明の大火と年齢加算;西福寺の襖絵 ほか)
著者等紹介
佐藤康宏[サトウヤスヒロ]
1955年、宮崎県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程(美術史学専攻)修了後、東京国立博物館学芸部、文化庁文化財保護部を経て、東京大学文学部教授(美術史学)。主な研究分野は江戸時代の絵画・版画の歴史。近年は平安・鎌倉時代の絵巻や近代の洋画にも論究し、日本美術史全体を概観するようになった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koichiro Minematsu
45
まだ読み始めですが、若冲の画にある動植物。その背景にちょっとだけ触れました。まだ読み進めますが、キーワードのようです。浄土宗にお詳しい方はお分かりでしょうが、「連環結制」を想定している気がしました。2020/05/04
umeko
10
著者も最後に書かれているが「全体を俯瞰するための地図」とある、まさにその通りの良書。断片的にしか知らなかった若冲の画業が順を追うことで理解が深まった。著者の自説も非常に興味深く、面白かった。2019/04/22
yooou
4
☆☆☆☆☆ 素晴らしい一冊でした。若冲も凄いけども著者の造詣の深さも半端ない。圧倒される本でした2020/03/15
hal
0
伝記というより、論文を丹念に読み込んでまとめた研究書のような趣き。画業の変遷と共に、人柄や交友関係も丁寧に触れている。なんか、若冲って、今ならオタク造形家みたいな感じに思えた。でも、晩年の苦節が滲む作品群や意外に広い交友関係を知ると、ただのヒッキーオタクではないものを感じる。2020/01/22