出版社内容情報
人はなぜそれぞれ違うのか。記憶、性的指向、味の好み、睡眠時間、人種……数々の実験とエピソードを交えつつ、「個性」の起源に迫る
内容説明
遺伝の影響力、記憶のありよう、性的アイデンティティ、味や匂いの好み、睡眠時間のパターン、人種と差別…。ベストセラー『快感回路』『触れることの科学』の著者、科学界随一のエンターテイナーがいざなう「わたし」と「あなた」の間のサイエンス・ワールド。人間はどこまで同じなのか、どれだけ違うのか―?
目次
第1章 個性と遺伝の関係を考えてみる
第2章 個性を生むメカニズムを知る
第3章 潜在記憶が個人を作る
第4章 女のアイデンティティ、男のアイデンティティ
第5章 誰を好きになるかということ
第6章 味の好み、匂いの好み
第7章 睡眠と夢と体内時計
第8章 人種と個人差について考えてみる
著者等紹介
リンデン,デイヴィッド・J.[リンデン,デイヴィッドJ.] [Linden,David J.]
神経科学者。ジョンズ・ホプキンス大学医学部教授。主に細胞レベルでの記憶のメカニズムの研究に取り組むとともに、脳神経科学の一般向けの解説にも尽力。長年、Journal of Neurophysiology誌の編集長も務める
岩坂彰[イワサカアキラ]
1958年生まれ。京都大学文学部哲学科卒。編集者を経て翻訳者に。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tamami
55
氏か育ちか、という。現代風に言えば、遺伝的要素か環境かということになるだろうか。我々一人一人が持っている個性はどのように形作られ、その過程で遺伝的要素と家庭を初めとする養育環境がどのように影響し合っているのかを、DNA関連科学や脳科学の成果をもとに論じたもの。結論から言えば、耳目を疑うというような事柄はないものの、そこに至る研究者たちの追究の方法や人間の多様性のデータは大変面白い。人は記憶によって形成される、男性や女性、人種と個人差について等、興味深いテーマが一杯。これまで朧気だった認識の変更を迫られる。2022/01/05
たまきら
37
尾崎豊のあの曲をちょっと思いつつ。個性と生まれの関係については、アスリートと誕生月の関係など色々読んでいたのですんなり受け止められました。科学的でありながらもどこか剽軽で、この著者のこれも個性だな、と楽しい気持ちに。様々な要素が組み合わさって複雑な化合物が形成されていく。それが人間だし、社会よね。2022/03/24
更紗蝦
31
人間の個性(外見・体質・性格・嗜好・性的指向など)の起源への問いを、分子生物学・心理学・社会学・進化生物学などの様々なジャンルの研究の知見を通して論じた本です。この手のテーマは、最終的には「私たちは何者であるのか」という哲学に必然的に収束しますが、誰しも大なり小なり持っている人間関係の悩み(特に恋愛や親子関係)に関わることが書かれているので、形而上的な内容が苦手な人であっても、読む価値のある本です。データの分析に関する記述にはかなりの慎重さがあり、ニセ科学に与することがないようにとの著者の意思を感じます。2022/01/04
原玉幸子
20
『快感回路』『触れることの科学』の(ちょっとエッチ好きな)神経科学者の最新刊。「脳に男性女性はない」と主張した同じく神経学者のD・ジョエルには「男性女性は明らかに判別出来る」と反論していますが、更に自身の理念を「性別とジェンダーの平等性を支持する議論とは、ものごとのあるべき姿を問題にする倫理的議論であるべき」と、対立を望む姿勢ではなくて好感が持てます。遺伝や脳を始めとした知覚のメカニズムに関する其々の話題が、学術的程ではないいいレベル感です。吃驚するデータや学説なしの気楽な読み流し。(◎2021年・冬)2022/01/21
美東
15
6頁 ” 虫にさえー 歌えるものあり 歌えぬものあり 小林一茶(*) (ロバート・ハース訳) (*)一茶の元の句は「世の中や 鳴く虫にさえ 上手下手」。 Robert Hassによる英訳は Even insects ー/some can sing,/some can’t.” 良くも悪くも、上手も下手も個性である。その個性はなにに由来し、どのように形成されるかを科学的見地から扱っているのが本書である。2022/03/23
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