出版社内容情報
ポスト戦争の時代、東京オリンピックの舞台はいかに整えられたのか。社会学・文化研究の第一人者が、五輪というドラマを活写する。
目次
序章 東京五輪という呪縛―シナリオが綻びるとき
第1章 ポスト戦争としてのオリンピック―舞台
第2章 聖火リレーと祭典の舞台―演出
第3章 メダリストたちの日本近代―演技
第4章 増殖する東京モデル―再演
終章 ドラマトゥルギーの転位―「速く、高く、強く」からの脱却を
著者等紹介
吉見俊哉[ヨシミシュンヤ]
1957年、東京都生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、東京大学大学院情報学環教授。専攻は社会学・文化研究・メディア研究。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
13
二度目の東京五輪をめぐっては、招致段階で石原慎太郎が述べたコメント「周りの国に勝手なことを言われてだな、国会はバカなことをやってる。むしゃくしゃしてるときに…お祭り一丁やろうじゃないか、オリンピックだぞということでドンと花火を打ち上げればいい」(8頁)の清々しいほどの志の低さが全てを物語る。これを糊塗せんがため盛んに引っ張り出されたのが64年大会の「成功体験」である以上、その実態も改めて問い直されるべきだろう。かつて博覧会を論じた実績を持つ著者は、この課題に見事に応えている。2024/08/25
iwtn_
4
この本の存在を知った時に今読むしかないと思った。著者の最新の新書とデビュー作は既読だったのでかなり期待していたが、それ以上に楽しめた本だった。 戦前に計画されていた幻の東京五輪に始まり、戦後の本番、更に東アジアと札幌、長野の五輪の変動と反復について本当に見事に纏められている。長野五輪を地元で経験したものとしてこの本で語られている内容の通りでかなり苦笑せざるをえなかった。 この本をコロナ禍の中、かつ、森前会長の辞任が決まった今の東京で読めたことを嬉しく、そしてこの本が予言する未来に暗々たる思いの両方がある。2021/02/14
akio numazawa
2
「復興」と「オリンピック」「万博」との特有な結び付き。国家はその祭典を開催することで大震災や敗戦という過去からの国民的規模での離脱を図る。それ自体は経済を成長させないが、多数の日本人がそう思い込む呪文として機能した。ナチスのプロパガンダとして制度化された聖火は、東京で天皇信仰と親和的に結びつく。2021/08/13
文明
1
おもろい。装丁も良い。2024/09/23
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