出版社内容情報
黒人解放運動をリードし、あらゆる抑圧と闘ってきた生ける伝説アンジェラの途方もない不正にみちた世界と闘うためのスピーチを集成。
内容説明
黒人解放運動の象徴であり、いまなおリスペクトを集め、ブラック・ライヴズ・マターの高まりで世界的に注目されるアンジェラがさししめす未来。黒人として女性としてつねに時代の困難に向きあってきた思想家=活動家が50年以上の時をかけて伝え続けてきたメッセージ。これからの世界を想像する上で不可欠なレイシズム、フェミニズム、インターセクショナリティ、アボリショニズムを知るための入門書にして主著。
目次
第1章 資本主義的個人主義に対抗する集団的闘争
第2章 ファーガソン事件が示したグローバルな文脈
第3章 構造的変革の必要性
第4章 パレスチナ、G4Sと産獄複合体
第5章 終幕と継続
第6章 マイケル・ブラウンからアサータ・シャクールまで―根強いレイシズム国家アメリカ
第7章 「真実を伝えるプロジェクト」―アメリカにおける暴力
第8章 フェミニズムとアボリション―21世紀のための理論と実践
第9章 政治的アクティヴィズムと抗議運動―1960年代からオバマ政権時代まで
第10章 国境を越える連帯
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よきし
3
BLMの思想的な師匠であるアンジェラ・ディヴィスの講演録。最も危険なテロリストにでっち上げられながら社会の不正義と差別と人を奴隷化する経済システムと監獄ビジネスを告発し、闘いつづけた人。その言葉は、非常に示唆に富むが、日本はこうした問題意識がいかに共有されていないかということを改めて突きつけられもする。その絶望を乗り越えて、行動しろと言われている。しなければいけない。社会をよくできるのは一人一人の行動と連帯しかないのだ。2021/10/01
ウクレレまさあき
2
🎬『ブラックパワー・ミックステープ~アメリカの光と影~』を観て、アンジェラ・デイヴィスを知る。投獄先でタバコ片手のインタビュー、惹きつけられた。本が読みたくて調べたのがこの本、訳者の前書きを先にWebで読んだけどめちゃ熱い。 アメリカの人種差別問題は、本や映画で知ってるつもりだったけど、奴隷制、警察の軍隊化、産獄複合体、パレスチナ、性差、貧富など全て絡まって、築かれてる。 1人のヒーローではなく、連帯が必要なこと。特に共産主義やパレスチナ問題、これ読んで印象が変わった。演説、とにかくカッコよい。2021/12/11
tekka
2
「私たちは間違いなくマーティンとマルコムを愛し、彼らの歴史的貢献に深く感謝していますが、過去を複製する必要はありません。さらに、今は21世紀ですから、リーダーシップが男性の特権ではないことを学んでいるべきです。黒人のラディカルな運動には、常に女性たちがその組織化に貢献してきたのですから、女性も指導的立場にあって当然です。」2021/09/23
yuko
2
この本に書かれていることは個々が自らの意識と当事者性を特段持たなくても自由に生きることが出来た日本人には遠いことばかりなのかもしれないが隙あれば憲法や法律を改悪しようとするこの国の政治家達により自由がこの先奪われないなんて保証は全くない アンジェラは現代の若者の思考が有害な差別・嫌悪意識に侵されておらず抑圧的イデオロギーを背負わされていないことに喜びと、それを過去から続く反人種差別闘争から学んだということに希望をみいだしていた そんな彼女のたくさんの言葉により想像力を未来にも向ける意義を感じることが出来る2021/07/10
ちり
2
“でも自然発生的には起こらない。自動的に起こることでもありません。あなたが介入しなければならない。意識的に介入していくことが必要なのです/指導者や大統領、立法者の努力によってではなく、むしろ平凡な人々が批判的な姿勢を身につけ、自らと現実との関係を認識するようになったことによって人種隔離政策という社会制度は廃止されたのです。それまで不変で不可侵のように見えていた社会的現実が、人々の影響が及ぶ変容可能なものであるとみなされるようになった”2021/05/28