出版社内容情報
法然、親鸞、一遍の信仰の生成を、生/死を超える万人救済の教えとして問い直す――詩人思想家がその生のすべてを賭けた「廻心」の書
内容説明
浄土は、いま、どこにあるか。世界のリアルな非惨の数々を前にして、私たちが往き、生まれ、生まれ続けるべき浄土は、いま、どこにあるか。法然、親鸞、一遍における熾烈な信仰の生成を生/死を超える万人救済の教えとして徹底的に問い直し“他力”の思考と実践をその現代性を鳴り響かせつつ甦らせる―詩人思想家がその生のすべてを賭けた「廻心」の書。
目次
序 ふたたび祈りの姿勢をとるために―あるいは遅れてきた至急便
第1部 「他力」という力(法然の革命―人民のための浄土;親鸞の闘い―マイノリティへの生成変化)
第2部 「赦し」とはなにか(「汝、赦されてあり」―大慈悲の力;赦し得ぬものを赦すこと―「悪人正機説」の過去と未来)
第3部 「ほどこし」という行為(一遍の実践―捨てること、与えること;「遊行」とはなにか―「一声」から集団編成へ)
第4部 「往生」とはなにか(有限性の問い―源信、ハイデガー、そして法然;現世において生/死を超える―称名念仏の刻)
著者等紹介
守中高明[モリナカタカアキ]
1960年東京生まれ。早稲田大学法学学術院教授。浄土宗・専念寺住職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamahiko
14
三人の天才の思想を繙きながら、宗教が真に希求された時代における「他力」の持つ意味を探求した良書。現代における「他力」の有効性を考えさせられました。宗教に対して懐疑的な自分ですが、再読を促す内容でした。2019/06/12
₭€₦ ㉿θЇ¢ħɨ฿ᾶr₳
2
厳しい修行に耐えた者が、大量の書物を読んだ者がそうでない者より偉く、救われる、なんていうケチ臭い文化資本の蓄積に汚染された考え方と決別し、救済の完全な無条件化と平等化の果てに行き着く、法然、親鸞、一編の他力の思想の系譜。 あとがきの亀井文夫のドキュメンタリーのエピソードも感動的。2019/09/28
まぶたのあるいきもの
2
日本における浄土教の圧倒的なラディカルさを明かした著作だと思う。同系統の本に余りにも著名だけど吉本隆明の『最後の親鸞』がある。そこからまた一歩踏み出して、深化させたのが本書ではないかなぁと。 『最後の親鸞』が紙幅狭くまた親鸞にしか焦点が当てられていないのに対して、本書では法然・親鸞・一遍の三人が時系列的にどのように浄土教を深化させてきたかが丁寧に書かれていると思う。 法然、親鸞、一遍は一切衆生の救済を行うためにどのような宗教であったら、"無条件"に人を救えるのか、その哲学的基礎づけのすごさを感じた。 2019/03/03