出版社内容情報
2011年から2015年にかけての激変の中、難民になったシリア人の日常や子どもたちの暮らしぶりなどを写真とともにとらえる。
【著者紹介】
ドキュメントフォトグラファー。１９８２年生れ。シリア人を夫にもち、２００８年からシリアを取材。
内容説明
シリアに滞在した日本人フォトグラファーのドキュメント。
目次
プロローグ（シリアとの出合い；内戦のはじまり ほか）
第１章 太陽と砂の輝くふるさと（沙漠に生きる一家；ラクダを追って）
第２章 戦火の足音のなかで（内戦下のダマスカスに立って；ムスタファの夢 ほか）
第３章 難民キャンプの女性たち（ザータリ難民キャンプへ；フセイン一家、それぞれの決断 ほか）
第４章 国境の街に生きる（国境の街レイハンル；ふるさとを離れて ほか）
著者等紹介
小松由佳［コマツユカ］
フォトグラフィー。１９８２年、秋田県生まれ。２００６年、“世界で最も困難な山”と称される世界第２の高峰Ｋ２（８６１１ｍ／パキスタン）に日本人女性として初めて登頂をはたす。植村直己冒険賞受賞（２００６年）、秋田県民栄誉章受章（２００６年）。２００８年からシリアでの撮影をはじめ、内戦前から現在までの人々の暮らしを取材。シリア難民の今を伝える活動を行う（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん１００７
46
先日、Eテレの「こころの時代」で知った小松由佳さん。その時、話されていたことが、ここにある。モノクロの写真だからこそ伝わってくるものが違う。人は何故争い、人を虐げ、そこまで残忍になれるのか。人の弱さ故なのかと考える。あまりに理不尽な世界があるということ、しかも、世界のあちこちにあるという事実を、どう受け止めればいいのだろうか・・・表現できないもどかしさだけが残る。2022/09/06
あじ
45
少年は発言した。「先生、不発弾があってもシリアに帰りたい」ーー発言に賛同し、次々と挙手する生徒たち。内戦と難民問題を抱えるシリアは、イラク、トルコ、ヨルダンに囲まれた国。45年にも渡る一党独裁政権に反発した、民主化運動が内戦の発端だった。数年に渡る取材の中で、連行されたまま行方知れずとなった人が幾人もいる。積もる内戦の傷跡を、不自由な身体で語る人もいる。ファインダーを見つめるシリアの人々から、カメラマンは目を逸らさない。民主化を願う瞳には雲一つない、穏やかな日の未来の快晴が写っていた。2016/09/19
マリリン
41
写真が語る写真集から、ふるさとを失っても生き抜く人たちの喜びが伝わってくる。内乱が続く地での想像を絶する難民生活。無理やり引き離され、消えてゆく家族。いつかは帰りたい、子孫に替える場所を。ささやかな願いすら願いにしかならない現状。老後破産以前に今生きる事で精一杯なはずなのにその瞳が輝いて見えるのは、カメラを持つ小松さんへの眼差し。心の交流が、信頼感があっての眼差し。生きるとはどういうことか改めて考えさせられる。よい写真集だった。2021/04/28
ののまる
17
難民となってもシリアの人々はユーモアがあって逞しく明るい、というのを時々聞きます。ここには、そんな彼らの笑顔があるけれど、多くは「今は行方不明」とある。もちろん笑顔ではない写真もたくさんある。「シリア難民」と一括りにせず、こうして1人1人の顔とエピソードを知ること。2016/09/06
C-biscuit
11
図書館で借りる。シリアについては、難民問題で昨今報道に取り上げられることが多かった。最近大きな動きがないように感じるが、現時点でシリアが安全な国にはなっていない。この本は、戦闘地帯の真っ只中で取材されたものではないが、シリアから離れている難民にスポットを当てた本であり、シリアでの生活や今の生活など文化も紹介されている。人物の写真から生活や人生を想像することになるのだが、彼らは、贅沢を望むこともなくただシリアに帰りたいと望むものである。次の世代には帰って欲しいと不発弾の知識を学ぶ子供の写真が印象的であった。2016/05/28
