「つながり」の戦後文化誌―労音、そして宝塚、万博

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  • サイズ B6判/ページ数 222p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309246444
  • NDC分類 760.6
  • Cコード C0036

出版社内容情報

かつて日本最大の音楽鑑賞団体であった「労音」。大阪労音の軌跡を軸に、戦後文化における〈つながり〉を読み解く、気鋭のデビュー作

【著者紹介】
1983年、大阪生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。現在、京都文教大学専任講師。

内容説明

かつて都市勤労青年を中心に人気を集め、日本最大の音楽鑑賞団体であった「労音」。大阪労音の軌跡を軸に、戦後日本における人と人、文化と文化の「つながり」を読み解く、気鋭のデビュー作。

目次

序章 「つながり」としての労音
第1章 労音の誕生(1949~1953)
第2章 初代会長・須藤五郎―宝塚から労音へ
第3章 停滞期の葛藤(1953~1956)
第4章 「ゴジラ」化する労音(1957~1960)
第5章 前衛・教養・キッチュ(1960~1969)
第6章 労音の衰退(1969~1974)
終章 宝塚・労音・万博

著者等紹介

長崎励朗[ナガサキレオ]
1983年、大阪生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。現在、京都文教大学専任講師。本書の元になる論文「戦後音楽運動における教養主義の変容」で2012年、日本マス・コミュニケーション学会優秀論文賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぽん教授(非実在系)

3
勤労者音楽協議会、通称労音の来歴を公共性を担保する社会関係資本の中核たる教養という、音楽からは一見想像できないようなキーワードを軸に分析していく。文化を新しく作るにはこうしたつながり・公共性が不可欠であると言われる中で重要なケーススタディである。2015/06/07

東隆斎洒落

1
14.3.22◆「労音」とは、勤労者音楽協議会の通称。戦後「良い音楽を安く聞く」という理念で1949年に大阪で組織。◆歌謡曲を「娯楽」、クラシックを「教養」とし、労音は背伸びした「教養」への憧れの具現化を目指す。◆労音に加え、「宝塚は西洋文化」、「大阪万博は前衛建築」が「連なる知を創造する」と説く。◆文化の創造には、当時の若者の集いのようなエネルギーが必要だが、価値観の多様化する現代、若者が集う文化は創造できるのであろうか? いや、つながりを通じた創造がなければ文化は生まれないを感じながら読了。 2014/03/22

ぷほは

0
「つながり」という観点は「趣味縁」などとも共通するSC(社会関係資本)としての文化を扱っている点で興味深い。が、後者は前者と違い「受け手」が中心となっている問題では?と言われて、うーん、そうかな~?となっている。2014/10/28

梅子

0
最近YouTubeで講義を配信してくれてるありがたい桃大社会学者の著者。喋りが上手い人は文章も上手い…。YouTubeでも解説補強されてたが、田舎から集団就職で大都会に来た若者達は、社会関係資本が極度に不足した状態かつ大学に進学したかったけど出来なかった階層。貧しく寂しい世代に、皆で「安くて良い音楽」を聴く労音がベストマッチした。最盛期は①クラシック②ポップス③前衛音楽の3例会が発足し、それぞれ欲求充足装置として働くのだが、やがて③が死に、①が死に……と文化の経年変化が例会の衰退によく現れるようになる。2021/03/07

古戸圭一朗

0
大阪で人気を誇った音楽鑑賞団体「労音」盛衰の歴史について、「教養」をキーワードに描き出す。労音が若年ホワイトカラーを中心に人気を集めた背景には、当時の大学における「教養」への憧れがあり、また人々が「つながり」を求めていたことも、それを後押しした。しかし、教養への憧れが力を失っていき、社会関係資本としての「つながり」が充足してしまったことも合わせて、労音は力を失っていく。その文化運動への思いと挫折から、今日の文化、そしてつながりをどのように考えることができるか、考えるべきかについて、示唆に富む一冊。2020/02/24

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