内容説明
アメリカの抱える問題を過激な論理で一刀両断、60年代の価値と体験をベースに、新しいフェミニズムを指向する人気学者の、待望の第一エッセー集。
目次
マドンナ論(1)―獣性と企み
マドンナ論(2)―ラジオ・ウェーブから生まれたヴィーナス
エリザベス・テイラ―ハリウッドの異教の女王
芸術としてのロック
世紀末のホモセクシュアリティ
長老派教会版「性の歓び」
ロバート・メープルソープの美しき頽廃
クラレンス・トーマスとアニタ・ヒルをめぐる不可解な事件〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やっさん
13
20年不遇をかこった女性人文学者による評論、講演録などを収録した大部。美の歴史に造詣が深く、現在(といっても’90年代だが)の矮小化されたフェミニズムを大批判。「アンチ・フェミニスト・フェミニスト」だとか。随分ねじれていること…。フェミニストから総スカンのマドンナを絶賛したり、デート・レイプも100%男のせいとは言えない(そんなこと言っているから女性の地位が向上しない)などなど。他人の著作をこき下ろすのに何十頁も費やすのもなぁ。付き合わされる方が大変。ラカンもデリダもフーコーもボロクソ。香山さんどう読む?2021/08/20
明智紫苑
7
異端のフェミニストのエッセイ集を再読。この人の強烈な個性からして、人間の性格の良し悪しとは外見と同じく個人の好み次第なんだなと改めて思う。私のフェミニズム的な価値観はある程度この人の影響を受けているのだが、この人は一般的な女性の「美」への嫉妬や劣等感に対して無頓着だな。そこがガッカリだ。それと、白人同士(それも非ユダヤ人同士)のレイシズムもシャレにならない。イタリア系アメリカ人であるこの人の二重の「中華思想」は、ちょっと乱暴過ぎるね。2017/09/26
明智紫苑
5
私は前世紀にハマったこの本を再読したけど、今世紀のパーリア氏はテイラー・スウィフトを「ナチスのバービー人形」呼ばわりした時点で単なる「low−guy」に成り下がってしまった。それが残念だ。まあ、他にも問題のあるフェミニズム系文化人は珍しくないのだが、パーリア氏は色々と比喩を用いるのが巧みだ。日本の文化人では、その手の比喩を駆使する人はそんなにいないのかもしれないが、浅学非才のあたしゃ知らんのね。マドンナファンだったパーリア氏がレディー・ガガを「アイディアのリサイクル」扱いしたのはある程度仕方ないだろうが。2024/11/07
新地学@児童書病発動中
3
痛快な評論集。カミール・パーリア(著者)によると、ラカンもデリダもフーコーもゴミということだ。(苦笑)2010/04/16
火曜日
2
主流フェミに乗れない自分はたいへん好感を抱いた。なんらかに幻滅しなんらかに傷ついたがそれを語らず絶対に被害者ポジションを取らないと決めた主体の実存の矜持で人を殴る、さぞ嫌われることと思われるが自分は好き、背が小さく髪が短くラカンが嫌いなところも極私的にイイ、紹介してるペルーの歌手イマ・スマックも聴いてみたらよかった。世代的にラブ&ピースの鬼っ子か。資本主義のことはどう思ってるのかが気になる。2021/09/17