内容説明
山の怪異現象の記録集。里の向こう、山中では、誰もが“何か”の気配を感じることがある。あるときは霊異であり、魔物であり、祟りであり、不思議であり…。山にひたった人たちが秘かに語り伝える、山という異界のモノ語り。
目次
榛名山加護丸稲荷の霊異(小林増巳)
上州奥多野山地の妖怪(時枝務)
奥那須安倍ヶ城の怪(末広昌雄)
奥秩父の妖怪ばなし(飯野頼治)
寄居冬住山浅間の怪(神山弘)
奥武蔵越生地方の妖怪ばなし(新井良輔)
顔振峠の呪咀地蔵(大護八郎)
仙元様のお怒り(岡田博)
丹沢の山霊・あとおいこぞう(佐藤芝明)
八ヶ岳マモノ沢の犬隠し(小林増巳)
上信越・山の怪奇ばなし(大塚安子)
北アルプスの怪異伝説(長沢武)
梓川の水神の祟り(横山篤美)
北アルプス山麓の怪異譚(胡桃沢友男)
飛〓宮川村の蛇変化(青木自由治)
美濃徳山村のモノ達(脇田雅彦)
火の玉・トンネル・片手の幽霊(浅野明)
京都北山怪奇噺(岩田英彬)
四国山地・惣川の不思議な話(湯川洋司)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッピー
29
復刊ドットコムの紹介で知りました。榛名山から始まり、四国まで日本の山々に伝わる怪奇の伝承を山系ごとに紹介。伝統的な話もあれば、比較的新しい話もあって興趣はつきませんが、ワッピー的には「仙元様のお怒り」の富士講紹介が興味深く、その他、日本の山の不思議の王道である山の神・天狗・河童・山父・山姥やお犬様、狐、光物、蛇の他、山中の魔所などあまたの話を楽しみました。かつての信仰、または畏れの記憶が次第に薄れてきて、怪異の伝承も次第に変質してきたのでしょうが、異界の風を現代の平地に吹きおろす本書に出会えたことに感謝。2024/04/25
N島
15
名古屋のBOOKOFFで購入。在野の民俗研究会『山村民俗の会』によって編まれた日本の山村に伝わる不思議話の談話集。時代を問わず語り継がれてきた不思議話に、かなりの面白味を感じますな。自分が生まれた年に実際に起きた…とされる話が出てくると無性に嬉しくなってしまいます。子供の時分に目にした幾つかの不思議な現象が、ただの見間違いや幻視幻聴の類でなく、民俗史に紡がれる体験だったのでは?とそんなことを考えてしまいます。後世に継がれるべき一冊です。2024/06/23
オールド・ボリシェビク
4
山と渓谷社から出ている「山怪」シリーズと比べると、土着感とレトロ感が横溢している。山で起きた怪異を綴っていくのだが、どうにも語りに統一感がなくて、読みにくさも。まあ、複数の語り部によるものだから仕方ないけどね。しかしながら、山の怖さは伝ってきます。2024/02/10
金色
3
話が古すぎるかな。2024/04/14
喜木海弐
1
山村民族の会のメンバーが取材した明治期から終戦直後辺りの民話を纏めた本。小泉八雲の雪女の元になったであろう話やその類話、千疋狼もしくは狼ばしごと呼ばれる狼が肩車し木に登った体験者を脅かそうとする話などがどの地域で聞かれた怪談なのかを明示して書かれているのが良い、雪女は白馬岳、近くの十六人谷に類話が伝わっている。また怪異が出てくる話ばかりでなく筆者の一人、小林氏の娘の遭難の話なんかは怪異譚ではなく山の恐ろしさを伝える内容だ。この本は小規模集落に取材に行っておりこの本がなければ失われた話もあったかもしれない2024/10/29
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