内容説明
東北地方の北部に暮らしていたアイヌは、いつの頃にか、北海道に渡るか、その地で同化したかと思われる。近代に入って、かれらの集住の地はまったくなくなったのか。いや、そうではない。到る処に細々と、しかし確実に、その痕跡は残っている。そのよすがを訪ね、アイヌ世界の南限の画定を補強する。
目次
第1章 岩手県二戸市の「アイヌ村」
第2章 その人びとは本当にアイヌであったか
第3章 青森県・津軽海峡沿いのアイヌ村
第4章 岩手県三陸海岸に沿って
第5章 北上山地での聞取りと記録から
第6章 秋田マタギはアイヌ人の末裔である
第7章 南限線の周辺―とくに宮城県北部の場合
著者等紹介
筒井功[ツツイイサオ]
1944年、高知市生まれ。民俗研究者。元・共同通信社記者。第20回旅の文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やまはるか
17
最近登った「面平山」オモテピラヤマの山名がアイヌ語に由来するとガイドブックにあった。他にもアイヌ語に由来する地名を耳にしたことがあり、手がかりを求めて読んでみた。本書によればアイヌ由来の地名があるのは北海道、青森、秋田、岩手の4道県と宮城県北部までで、他は本書の対象になっていない。縄文、弥生時代に日本列島に拡大したグループと東北地方で棲み分けていたというのか。そもそも地名はどの時代のものが伝わるのか。東北には明治時代に少数のアイヌが暮していた事実が確認されている。アイヌの対語のように和人が出てくる。2025/04/02
onepei
4
地名など安易な結びつけには批判的。2023/10/09
水
2
マタギの山言葉にアイヌ語が多分にあることと、アイヌ民族が北方から南下してきた民族であるという仮説が面白かった。2024/06/15
panda
2
東北には古くは蝦夷が住んでいたが、蝦夷がアイヌと同じかは永らく見解が分かれている。民族は、数百年経てば人種が全く入れ替わることもあるわけで、自らの民族をどう自認しているかで判断せざるを得ないのだろう。アイヌを祖とする人がいたとしても、自らの系譜を忘れ、和人と同化していったのだろう。本書にある、アイヌがある時期南下して北東北に住んできたこと、近代まで自らをアイヌであると自認した人々が暮らしていたこと、は北東北の歴史を再認識する大切な事実ではないか。あれだけ沢山のアイヌ語の地名が残る理由の説明がつくだろう。2023/10/30
ケンスサイ
1
熊谷達也さんのマタギ関係の本、カムイ話などを思い出した。この本を先に読んでいたら同氏の小説はさらに面白かったであろう。2023/09/29
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- 和書
- 若草物語 新潮文庫