出版社内容情報
キリストの足跡を東北に見出し、超国家主義の福音書として超古代史の夢を紡いだ『竹内文献』と偽作者・巨麿の実態。
内容説明
時代転換期の不安が産み落とした世界再統一の夢。皇統は神武以前にさらにさかのぼり、太古、天皇は世界を統治していたという異端の神話体系を構築した千古の奇書『竹内文献』―その妄想の教祖となった男・竹内巨麿の生涯と、戦時、超国家主義の夢を彼に託した、軍人、政財界人、神秘家、宗教家たちの物語。付録として未公開の文献の一部も収録。
目次
序章 『竹内文献』が、近代日本に投じた波紋
第1章 生い立ちより天津教開教まで
第2章 開教後、南朝遺跡の請願運動に着手
第3章 教勢拡大のための中央進出、東京奉安殿移転構想
第4章 二つの天津教事件とその間の教勢挽回の試み
第5章 教主巨麿検挙後の天津教信奉者の動き
終章 巨麿なき後の天津教のその後
著者等紹介
藤原明[フジワラアキラ]
1958年、東京都生まれ。出版社編集勤務の後、ノンフィクションライターに。評価の定まらない史料や怪しげな伝承・文献などが一人歩きする経緯について、独自に研究を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スプリント
7
トンでも本やオカルト本によく登場する竹内巨麿を取り上げた本です。なかなかに濃い人生を歩んでいることがわかります。2020/04/14
inaryoXD11
0
タイトルとは違い、居麿氏というより竹内文献を取り巻く人々に焦点が当てられている。戦前・戦中の話からスタートしていて、何のことか?と思いつつ読み始めました。「超国家主義」が居麿氏の思惑だったのかどうかはわかりませんが、当時はそこで日本民族の優秀性を主張するお偉方が多くいたようです。 何度か現れる表現ですが、現在はサブカルチャーとして、おかしみの対象として位置付けられているとの著者の認識。まあよく言ったと感じる表現。成り立ちがわかったのでぼくは卒業かな…。2020/07/28
魔威駆
0
表紙の竹内さんがイケメンすぎる。大戦時の日本人の劣等感や寄る辺を求める心理を突いたことで、荒唐無稽な教えでも鵜呑みにさせた教祖の巧みさよ。それとも絵空事だと分かっていながらも、信者は日本民族の誇りから妄信する事をやめられなかったのか。2020/07/11