出版社内容情報
被差別民を中心に差別を受けた十三の事件の真相を追う。的ヶ浜事件、福田村売薬商殺し、洞村移住強要事件、オール・ロマンス事件など
内容説明
なぜ「洞」集落は父祖の地を追われなければならなかったのか。なぜ香川県から出てきた薬の行商人たちは惨殺されねばならなかったのか。歴史上、差別と被差別にかかわる十二の事件を検証する。
目次
周辺住民千余人が部落を襲う―群馬県・世良田村事件
警察が細民部落を焼き払う―大分県・的ヶ浜事件
朝鮮人と間違われて薬行商人が惨殺される―千葉県・福田村事件
「番人」の二つの受難―高知県・膏取り一揆と松本直吉事件
東北地方のキリシタン弾圧と隠れキリシタン―米沢、一関、会津の場合
賎視と闘った猿まわしの話―山梨県・猿引仙蔵一件
植民地での反乱と鎮圧が千余人の死をまねく―台湾・霧社事件
天皇陵と被差別部落―奈良県・洞部落移転の経緯
二人の死刑執行後に真犯人が現れる―東京・下谷の「サンカ」刑死事件
研究者と対象集団とのあいだ―北海道・アイヌ墓地の盗掘事件
幕末、大規模な解放闘争が起きていた―岡山県・渋染一揆
「模範的糾弾闘争」の虚実―京都府、オール・ロマンス事件
著者等紹介
筒井功[ツツイイサオ]
1944年、高知市生まれ。民俗研究者。元・共同通信社記者。正史に登場しない非定住民の生態や民俗の調査・取材を続ける。第20回旅の文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tellme0112
7
読むのがしんどかった。2019/08/03
尾原道場
1
「差別と弾圧の事件史」筒井功 あとがき「これを引き起こしたのは、単なる差別意識というより群集心理ではなかったか」「ごく善良な地域住民が残虐な殺人者に一変してしまう。」今の嫌韓の流れに同じ物を感じる。著者は高知市出身。2019/09/15
hirokoshi
0
差別の加害者に対して「ふだんは犯罪や暴力とは無縁の実直な生活者たちであったろう」という冷静な視点は、「あなたもいつでも加害者になりうる」と読者へも向けられている。そしてそれを起動させてしまう群集心理。警察官差別があったの知らなかった。台湾の事件は映画「セデック・バレ」かな。カストリ小説ってPULP FICTIONか!その他メモ:犠牲者数が概算よりもし少なかったとしてもその分問題が小さくなるわけではない/警戒を呼びかけたのが軍・警察だったことで、公的なお墨付きを得た自衛と受け取り行動が大胆になった/2025/01/09
turutaka
0
歴史の片隅に葬られたような事件を丹念に調べ上げていて好感が持てる内容。 いつの時代でも差別はなくならない。 人類のOSにインストールされた基本的な資質なんだろうな。2020/09/29
hiroshi
0
若干読むのがしんどかった。 ※文体が淡々としていて。差別解放関連の書はよく読む方だ。 総花的。 でもどれも史実としてあえて(?)生々しく扱っている。2019/10/23