出版社内容情報
天台宗系の寺院の常行堂などの「後戸」に秘められた秘仏である摩多羅神。宿神、翁神でもある“踊る神”の謎に本格的に迫る。新装版。
内容説明
究極の絶対秘神!天台宗系寺院の常行堂などの「後戸」に秘められた秘仏である摩多羅神。大陸由来の、秦氏と深く関わる、申楽の後戸の神であり、宿神、翁神でもある“踊る神”の謎に、文献研究とフィールド調査から本格的に迫る。
目次
第1章 広隆寺の摩〓(た)羅神
第2章 摩多羅神はどこから来たか
第3章 延暦寺常行堂
第4章 赤山明神と新羅明神
第5章 毛越寺常行堂・多武峯常行堂
第6章 東照大権現と摩多羅神
第7章 玄旨帰命壇潅頂
第8章 江戸の摩多羅神
著者等紹介
川村湊[カワムラミナト]
1951年、北海道生まれ。1982~86年、韓国釜山の東亜大学で日本語・日本文学を教える。法政大学国際文化学部教授。文芸評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆきこ
18
摩多羅神とは一体どんな神様なのかを総合的にまとめて考察されている一冊。コバルト文庫の「姫神様に願いを」が大好きなのでとてもおもしろく読むことができました。まだまだ謎な部分も多く、とても不思議で秘密めていて奥深~い神様だなぁと思いました。強引なこじつけのような部分がいくつかあって、そこは少し微妙でした。2018/11/01
ちぃ。
4
軽く書かれているが味わいは濃厚。2024/04/15
ますりん
2
25年くらい前、岩手県平泉にある毛越寺の常行堂の説明看板にあった秘仏摩多羅神の記載をずっと気にかけていたまま月日が流れ。やっとこういう本を見つけた。 天台宗や真言宗の密教系の念仏堂の後戸に秘された荒ぶる神から、秦氏を代表する大陸からの技能者集団との繋がりのある猿楽能の始祖としての神と、立川流で有名な玄旨帰命壇の本尊としての神、そして徳川家と天海を巡る東照宮三所権現のひとつとしての神。 多様な分岐。 ながらく引っかかっていたトゲが抜けた気分。2018/11/18
Oltmk
1
著者のフィールドワークと研究がエッセイ的文章によって描かれており軽く読める専門書となっているが、摩多羅神という現代において信仰が繋がっていない中世日本の神を書く事に筆者自身が苦労している事が窺えたり、何でその話をするのか?といった文章もあるため歴史学の断定的な内容を求める人間には噛み合わないものとなっている。ただ、摩多羅神とは何かを理解できる書籍にもなっているため内容自体は興味深いものとなっている。2021/05/01
水菜
1
東方Projectファンの方々の間で人気の本らしいと小耳に挟み読んでみました。 私自身は東方の知識ゼロなのですが、摩多羅隠岐奈というキャラクターが出てくるそう。 秦氏や猿楽や能楽、東照宮など、今まで頭の中でぼんやりとあるだけだった単語がこの本を読むことで立体的に感じられました。 地元奈良県の談山神社や春日大社に関する記述もあり、興味深く読みました。2018/09/21