出版社内容情報
かつてのドイツで300もの領邦に分かれ、繰り広げられた権力争い。破天荒で支離滅裂な諸侯達が跳梁跋扈する激動の時代を活写する。
内容説明
闘いの果てに望むものは、富か、権力か、神の祝福か?親子が殺し合い、兄弟が憎しみあう。中世からハプスブルク、ヒトラー登場まで、破天荒で支離滅裂な諸侯たちが跳梁跋扈した激動の時代を活写。名家が並び立ち、群雄割拠して覇権を争う。魑魅魍魎入り乱れる歴史活劇。
目次
選帝侯
ルクセンブルク家
ヴィッテルスバハ家
ツェーリング家
ヴェルフェン家
ヴュルテンベルク家
ホーエンツォレルン家
ヘッセン家
豆粒諸侯
ロシア皇帝家ロマノフ家とドイツ諸侯のネットワーク
ザクセン=コーブルク家
著者等紹介
菊池良生[キクチヨシオ]
1948年生まれ。明治大学理工学部教授。専攻はドイツ・オーストリア文学、文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
31
かつて300もの領邦に分かれて権力争いを繰り広げていたドイツ諸侯。中世からハプスブルク、ヒトラー登場まで、破天荒で支離滅裂な諸侯たちが跳梁跋扈した激動の時代を解説した一冊。選帝侯などの有力諸侯各家から豆粒諸侯まで、歴史に名を残す人物たちの複雑で愛憎にまみれたエピソードの数々がテンポよく描かれていて、とても読み応えがありました。結果から見てしまうといろいろ残念な人物やエピソードも多かったですが、これだけ周辺国との関係や国の運営に深く関わっていた宗教なども複雑に絡む状況は、想像以上に大変だったんでしょうね。 2017/06/24
星落秋風五丈原
24
ずいぶんくだけた書き方をする。個性豊かなドイツ諸侯の中にエカチェリーナニ世やルートヴィヒなど有名人も混じる。2017/06/21
軍縮地球市民shinshin
16
神聖ローマ帝国とは名ばかりで、諸侯の連邦国家だった。皇帝は選帝候のたちによる選挙で決まり、皇帝の言うことは聞かない。皇帝もそういう意味では諸侯の一つだった。本書は著者ならではの肩のこらない物語調で、皇帝ではなく、有力諸侯の方に注目して著した列伝。なかなか面白いが、なにせ西洋の王侯貴族はみんな同じ名前で、やたらとフリードリヒが多い。同名ばかりが時代と家系を超えて総登場。よほど気を付けないと話が混乱してわけがわからなくなる。2017/11/19
ジュンジュン
15
「神聖でもなく、ローマ的でもなく、そもそも帝国ですらない」(ヴォルテール)。つまり、神聖ローマ帝国とは外交権まで有した300の主権国家の連合体(248p)。その連合体を構成する諸侯を、選帝侯からプロイセン王家、大諸侯に弱小諸侯までピックアップして紹介する。ただ、名前が…「当主はルートヴィヒ10世である。彼もまたヘッセンカッセル伯ヴィルヘルム9世がヘッセンカッセル選帝侯ヴィルヘルム1世となったように、後にヘッセン大公ルートヴィヒ1世となる」(242p)。…頭が痛くなる(😢)。2023/01/16
さとうしん
15
選帝侯となった家門を中心に見るドイツ史。神聖でもなく、ローマ的でもなく、そもそも帝国ですらなかった神聖ローマ帝国がなぜ1806年まで解体されなかったのか?実態があろうがなかろうがとにかくご大層な肩書きを欲しがる大諸侯(帝国解体の前夜1803年にようやく選帝侯となった諸侯も存在する!)、帝国という枠組みがなくなれば自分たちの主権など粉みじんになる豆粒諸侯、それぞれがそれぞれの事情で帝国の存在を望んだという見通しが本書によって見えてくる。そして更に帝国解体後も諸侯たちの物語は続いていく…2019/01/21