出版社内容情報
同盟を組んだ大名四人に重臣三人……なぜ、信長は“まさかの裏切り”に見舞われ続けたのか?天下人の真の人間像を史料から読み解く!
金子 拓[カネコ ヒラク]
1967年生まれ。東京大学史料編纂所准教授。東北大学文学部国史学科卒、同大学院博士課程後期単位取得退学。専門は日本中世史、史料学。信長に関する著書多数。
内容説明
なぜ信長は、かくも裏切られ続けたのか?天下人の意外なまでの人間像が史料の細部から浮かび上がる。
目次
第1章 浅井長政―妹婿の離叛
第2章 武田信玄―気づかなかった裏切り
第3章 上杉謙信―支援約束の果て
第4章 毛利輝元―境目紛争の末に
第5章 松永久秀と荒木村重―家臣の裏切り
第6章 明智光秀―裏切りの総決算
終章 信じすぎた報い
著者等紹介
金子拓[カネコヒラク]
1967年、山形県生まれ。1990年、東北大学文学部国史学科卒、同大学院文学研究科博士課程後期課程修了。博士(文学)。現在、東京大学史料編纂所准教授。専門は日本中世史、史料学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
61
この表紙の信長が可愛い。私の好きな安田靫彦の絵である。先日読んだ本郷和人の本に「信長大した事ない論」の様なものが近年はびこっている事が書いてあった。大した事ない論者の一人がこの著者と言って良いだろう。本郷和人はこれに反する人であるが、金子拓も本郷和人も共に東大史料編纂所の研究者であるのが面白い。本書は信長の「裏切られ人生」に注目したもの。外交の失敗と家来の反逆。本書を読むと信長はギリギリまで気付かない人である。甘いのである。ラストにあるように、平手政秀も確かにある意味裏切りである。なかなか面白かった。2017/07/25
645TJC
15
独裁者的であり、戦国時代のカリスマ的イメージが強い信長だが、反面、同盟相手や家臣に多く裏切られている。信長はなぜ裏切られたか?信長の人間性、特に負の部分に焦点を当て描かれている。裏切られた理由=➀人を信頼しすぎた。一旦信用するととことん信用し安心てしまう性格②相手の考えを読まない。読めなかったのか読まないのか不明だが、信用はするが自分の行動に対して相手がどう感じ、何を考えているかに考えを及ばせておらず、部下統制ができず➂外交感覚の欠如。一つの勢力だけに肩入れする、自分の考えに固執する、自分を棚上げするなど2017/08/13
ほうすう
14
織田信長を裏切った人物。浅井・武田・上杉・毛利・松永・荒木・明智といった7人の人物の裏切りを通じ、その原因を探ることによって信長を読み解こうという書。たしかに信長ほどに裏切られた戦国大名はそうはおりますまい。人を信じるといえば聞こえは良いが相手の立場を考えない、敵対する双方と結ぶ、裏切るわけがないと思い込む尊大さなど信長にはそういった面があるなと説得力ある内容。外交・家臣団統制において信長は不得手であるという結論にも納得。むしろ、この不始末を不器用という言葉で片づけていいのかとすら思った。2021/01/28
nagoyan
12
優。同盟者(信玄、謙信、輝元)と部下(久秀、村重、光秀)からの「裏切り」を分析。信長の相手の立場や都合を考慮しない一方的なKYさと、それにかかわらず自分が裏切られるとは考えない一方的な「信頼」が共通していると指摘。ここから、広い意味で「外交」が不得手な信長像が見えるとする。 2020/11/14
電羊齋
8
確かに「不器用」というか脇が甘い。自分が正しいと信じたことを家臣・同盟者の都合を考えずに実行し、彼らのメンツを潰してしまう。だが肝心の信長本人はそれを全く自覚しておらず、裏切られることは完全に想定外。また、引用されている藤本正行氏の見解にもある通り、これまで指摘されてきた信長の猜疑心の強さと本書の「人を信じすぎる」信長像は決して矛盾しないと思う。猜疑心の強い人間ほど特定の誰か(何か)を過信し、そして裏切られるものだから。2017/07/14