『ユダ福音書』の謎を解く

ペイゲルス，エレーヌ〈Ｐａｇｅｌｓ，Ｅｌａｉｎｅ〉/キング，カレン・Ｌ．【著】〈Ｋｉｎｇ，Ｋａｒｅｎ Ｌ．〉/山形 孝夫/新免 貢【訳】

河出書房新社（2013/10発売）

• サイズ B6判／ページ数 257p／高さ 20cm
• 商品コード 9784309226026
• NDC分類 193.9
• Cコード C0016

出版社内容情報

裏切り者か？最も寵愛された弟子か？　1800年間封印されていた「禁断の書」が今甦る！　キリスト教はなぜ、ユダを抹殺したのか？

【著者紹介】
プリンストン大学教授。著書に『ナグ・マハディ写本　初期キリスト教の正統と異端』（白水社）『禁じられた福音書　ナグ・マハディ文書の解明』（青土社）『悪魔の起源』（青土社）など。

内容説明

裏切り者か？最も寵愛された弟子か？キリスト教はなぜ、ユダを抹殺したのか？１８００年間の封印から解き放たれた、禁断の書。世界中を震撼させた話題の書、待望の邦訳。犠牲のシステム批判という観点からキリスト教の贖罪思想とその支配原理を根本的に問い直し、負の烙印を強制されつづけてきたユダ像を転換し、裏切り者として、徹底的に貶められてきたユダの名誉を現代に回復する。

目次

第１部　ユダを読む（ユダ―裏切り者か寵愛された弟子か？；ユダと十二弟子；犠牲と霊の命；王国の秘義）
第２部　ユダ福音書（原典ユダ福音書；いくつかのコプト語に関する訳語について；ユダ福音書への注解；参照牽引）

著者等紹介

ペイゲルス，エレーヌ［ペイゲルス，エレーヌ］ ［Ｐａｇｅｌｓ，Ｅｌａｉｎｅ］
ナグ・ハマディ文書研究の第一人者である。現在、プリンストン大学の初期キリスト教史学の教授。直截な語り口で現代人にわかりやすく古代キリスト教思想の多様性を読み解く世界的学者

キング，カレン・Ｌ．［キング，カレンＬ．］ ［Ｋｉｎｇ，Ｋａｒｅｎ　Ｌ．］
失われたマグダラのマリアの名誉を現代に復権させた気鋭の第一級の研究者。現在、ハーヴァード大学神学部教授

山形孝夫［ヤマガタタカオ］
１９３２年、仙台に生まれる。東北大学文学部宗教学・宗教史学科卒業。同大学院博士課程満期退学。専攻、宗教人類学。現在、宮城学院女子大学名誉教授。著書に『砂漠の修道院』（平凡社ライブラリー、日本エッセイストクラブ賞受賞）などがある

新免貢［シンメンミツグ］
１９５３年、沖縄県に生まれる。関西学院大学大学院神学研究科修了、現在、宮城学院女子大学教授、神戸国際支援機構理事（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[マウリツィウス]

【『《ユダ福音書》』「翻訳」】《『ユダ』の講解条件を明晰整理》、《グノーシス原型とされた神人合一思想を極限遮断へ求められる》。《そう、ギリシャ語起源とされた福音書の本来の文法を「再継承へ」、この文書の鮮明講解はどのようなプロセスを踏むべきか》。《『ユダ福音書』に隠された統一言語を「再解放」へ》。《ギリシャ語条件、これの再解除を再導入、イエス＝キリストの起源史を再度検証》、「《この文書類を再収録》」、《さて、もう『手紙・書簡』を書き終えた》。《筆者は「誰」だろうか》。《「この筆名」に宿る》。／秘めし封印と謎

2015/03/06

[ぐうぐう]

キリスト教が多くの信徒を獲得するにあたって、そのシステムを強固なものとするために切り捨てていった教えが多く存在する。それらは皆、異端の書とされ、いつしか歴史の闇に葬り去られていった。二世紀の頃に書かれたとされるユダ福音書も、そのひとつだ。本書を読めば、なぜにユダ福音書が闇に葬られたかがよくわかる。それは、キリスト教の大きな柱とも言える供犠の精神と、ユダの裏切りの解釈が大きく違うことにある。ユダ福音書の中で、イエスは供犠の儀礼に怒りを表わす。（つづく）

2014/02/17

[ケニオミ]

色々と事情があり、似非キリスト教徒となってしまったせいか、前々からユダについての興味が尽きません。ユダが裏切ることが決められていたのならば、最初から彼の来世の場所が決まっていたのか。イエスの使命を果たすための最大限の貢献をしたのであれば、彼の評価は高くていいのではないのか。等々時折考えてしまいます。本書での収穫は、初期のキリスト教団が思想的に調和のとれた理想的な団体ではなかったこと、そして、現存する聖書は恣意的に集められたため、聖書に帰れというプロテスタントの運動自体が空しいことを知ったことでしょうか。

2014/03/12

[P-man]

『ユダ イエスを裏切った男』http://bookmeter.com/b/4582853242　を読んだので、もうユダ福音書の中身が気になるのは当然でしょう。新約も旧約も差し置いて原典読んだ唯一の聖書がユダ福音書になってしまった俺は異端中の異端だろうｗ　キリスト教が長いこと闇に葬ってきた異端の書とは、どんなことが書いてるのかと思えば、意外や意外、センセーショナルなタイトルとは裏腹にこの福音書は言いたいことはかなりまともじゃないか。（コメントに続く）

2015/06/28

[りゃーん]

私が生まれた頃に発掘され、ブローカーの手から手に転々と転がり、復元作業と翻訳に更に時間をかけ、近年ようやくテクスト研究に迄辿り着いた「ユダ福音書」の翻訳とその読解。新約聖書とはベスト盤如きもので、採られなかった福音書は外典とされるが、その存在が他の外典に明示されながら、今の今迄確認できなかったのが本作である。孔子や仏陀と同じく、イエスも自身の著作がなく、弟子やその又弟子が自分の見たイエスを書いて、複眼がキリスト教を厄介なもの＆豊かなものにしてきた。その中にありユダであるから本書の存在はセンセーショナルだ。

2015/07/26