内容説明
陸軍エリート・永田鉄山軍務局長暗殺―いま初めて、その全貌が、怪文書と霊告から切り解かれる。「狂うた日本の姿」を前に国家改造へと突き進んだ昭和維新、その“動乱の口火”を追うノンフィクション大作。初めて明かされる、特異なテロルの全貌。
目次
凶事
怪文書
黒幕
公判
銃殺刑
著者等紹介
鬼頭春樹[キトウハルキ]
昭和23年1月1日生まれ。昭和46年東京外国語大学フランス語学科卒。NHKにディレクターとして入局、平成19年定年退職。NHK特集「ニガヨモギ―調査報告チェルノブイリ原発事故」(昭和61)でモンテカルロTV祭ゴールデンニンフ賞・レーニエ三世賞・国際批評家賞、ほか五つの国際コンクールで受賞。「NHKスペシャル・新シルクロード天山南路ラピスラズリの輝き」(平成17)でニューヨークフェスティバル宗教番組部門最優秀賞受賞。平成12年のNHK総合TVのメディア改定にあたり「プロジェクトX」「NHKアーカイブス」等の創設を編成局で担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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駄目男
18
かなり難しい本だった。血盟団事件、三月事件、十月事件、相沢事件、二・二六事件。北一輝、西田税と確かに相沢中佐と関係が無いわけではが、事件の性質上やむを得ないとはいえ、根深く本質を捉えようとしているので、どうしても相沢に関わった人たちが書き残した文献が山ほど出て来て、それをまた掲載しているので、読み手を苦しくしている。死刑間際になって相沢は、犯した罪を後悔し涙しているが、それにしても永田軍務局長惨殺という、陸軍始まって以来の不祥事はあまりにも大きな事件だった。2022/01/17
Galilei
7
陸軍の最高実力者永田鉄山を、剣道の達人相沢中佐が一刀の元に誅殺した大事件で、226事件への導火線。原因は統制派の永田が皇道派トップを更迭したため、皇道派の頑なな天皇崇拝の相沢が立腹。本書は相沢の人物像や、皇道派の226事件に至る北一機・西田税の実像、さらに相沢の公判などを詳細に解明。▽永田の人事権は組閣を左右する陸軍大臣にも及び、更に政財界との繋がりを広げて、相沢は癒着を阻止すつ為犯行に至った。▽昨日の東京高検人事判決は権力乱用と、闇の癒着で暗殺された元首相の共通する実体に、時代を経ても危惧を抱かせます。2024/06/30
TURU
3
二・二六事件の全貌を朧げにしか知らないので、登場人物があまりにも多く混乱してしまう。また、軍部の派閥で誰々と誰が不仲、誰の下に誰が居て何を進めた等の派閥抗争があり、この本の先に二・二六事件があると思うと眼が眩む。二・二六事件の出版物は沢山あるので、いつか本腰を入れて読んでみたい。2014/07/27
フンフン
2
すごい本である。226事件や相沢事件関係の文献をここまで読み込んだ研究者はいないだろう。真崎大将が相沢中佐に永田少将殺害を教唆したという説は、従来から言われていたが、ここまで実相に迫った著作はほかにないだろう。2018/02/20
さんごうゆきふさ
2
久しぶりに読んだ戦前の軍部もの。相沢事件の詳しい顛末を知ることができました。背後には、やはり真崎と北一輝の影があるんだなと。相沢がここまで2人に影響を受けているとは思わなかった。自分自身で咀嚼できなかったんだろうな。テロを起こすことの影響なんて、すぐにわかりそうなのに。この事件さえなければ、日本の歴史は少しはまともになったのかな。東條よりも永田が首相をやっていた方が。戦争には突入していただろうけど。それにしても、真崎が不起訴とは。。。2014/07/04