戦争と飢餓

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  • サイズ B6判/ページ数 600p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309225869
  • NDC分類 209.74
  • Cコード C0022

内容説明

第2次大戦中、少なくとも2000万人の人々が、飢餓、栄養失調、およびそれにともなう病気によって、こうした悲惨な死を迎えた。この数字は、軍人の戦死者数1950万人に匹敵する。戦争が食糧の供給におよぼす影響は、軍事行動と同じくらい致死的な結果を世界の人々にもたらすのだ。本書では、戦争の中心的要因として食糧がどんな役割を担ってきたかを探っていく(「序―戦争と食糧」より)。

目次

序 戦争と食糧
第1部 食糧―戦争の原動力(ドイツの帝国への大望;日本の帝国への大望)
第2部 食糧をめぐる戦い(アメリカの軍需景気;イギリスを養う;大西洋の戦い;大英帝国を動員する;ドイツを養う;飢えを東方に輸出したドイツ;ソヴィエト体制の崩壊;日本の飢えへの道;内戦下の中国)
第3部 食糧の政治学(天皇のために飢える日本;ソヴィエト連邦―空腹での戦い;ドイツとイギリス―受給権に対するふたつの取組み;大英帝国―戦争の福祉的な側面;アメリカ―不況から抜け出して豊かな社会へ)
第4部 戦争の余波(腹ぺこの世界;豊かな世界)

著者等紹介

コリンガム,リジー[コリンガム,リジー][Collingham,Lizzie]
ウォーリック大学で歴史を教えたあと、ケンブリッジ大学ジーザスカレッジの研究員となる。ケンブリッジ近郊に在住

宇丹貴代実[ウタンキヨミ]
1963年生まれ。上智大学法学部国際関係法学科卒業。英米文学翻訳家

黒輪篤嗣[クロワアツシ]
1973年生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Willie the Wildcat

54
自然、そして人工的な飢餓。前者を考慮しない政策が後者を拍車。「食糧」の観点での戦争、数字が語る壮絶さ。食を戦略としたこと、言い換えると自然を冒涜した罪への当然の帰結かもしれない。飢餓計画?!唯々嫌な響き。然るに現代の飽食や如何に。興味深い点が多々ある中、配給制度の齎した社会構造における変化は印象的。加えて、ブラセロ・プログラムや原住民労働義務法など、植民地政策の成れの果てに垣間見る弱者負担の構造。古今東西不変の悲しき歴史と現実。戦争が人を狂わせる・・・?言い訳にしか聞こえない。2016/08/12

天の川

37
質・量共に膨大。お正月本に相応しくないけれど、長期休みでないと読めなかった。第二次大戦中の餓死者2000万人。米英ソ、日独などの軍の糧食事情と国民への食料政策が克明に綴られており、それぞれの国の体質が顕著に表出する。いずれの国も支配下の地域に犠牲を強い、軍を優先して国民に耐乏を強いていることに変わりはない。連合国の支援ネットワークも然り。強国が食料をまず確保するのだ。ドイツは食料確保の為にもユダヤ人抹殺に拍車をかけ、ソ連はドイツ兵に食糧を渡さない為の焦土作戦を国民の飢えより優先し→2020/01/02

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

18
第二次世界大戦中、世界の人々は何を食べていたか、のわかりやすい作品。ドイツ国民を食べさせるためにソ連のウクライナを占領して、作物をまきあげるドイツ軍。ドイツ人以外の人々は「無駄飯食い」とされる。自国の軍の食料には心を砕いても、インドやアフリカの英国占領国軍には冷たいイギリス軍。食料無くとも「精神で闘え」と自国兵を餓死させた日本軍。もちろんその背後には飢えて死にかける民間人がいる。破壊放火殺人窃盗強姦しつくした第二次世界大戦の後に残された世界はどのようなものだったか。一日中続きが気になり一気読み。2015/08/22

壱萬参仟縁

10
戦争を知っている世代が亡くなる。実体験のない世代がまた改憲でいつか来た道に戻る動きもある。恐ろしい。飢餓浮腫(22ページ)。腹が前身が浮腫む。農経学者が朝鮮から米を得ることを飢えの輸出と称した(63ページ)。生きるも飢え地獄、死ぬも地獄、いずれにしても戦争は地獄と痛感。日本が東南アジアの何百万人も飢えさせた写真(1945年7月ボルネオ島241ページ)。要謝罪。他国から奪取するのは国際社会から糾弾される筈。300ページの日本兵の写真は福一原発事件後の放置された家畜の如し。人を良くする食。糧は米を量る。食糧。2013/01/25

toriarii

5
第2次世界大戦参加主要国の食料政策に関する概要を記載した本。 手に取るとかなりの厚みだが、戦時の食料問題の概要を把握するにはちょうど良い。 注目したのは、ナチスの有機農業にもあるヘルベルト・バッケのウクライナでの食料政策の失敗が、ナチスの行政組織の貧弱さにあったという指摘だ。バッケが蔑視していたソ連政府が戦前に同地域で恨みを買うほどの収奪、監視を実行できていたのと比較すると、ナチスの行政能力の低さが解る。本書は戦争遂行には食料資源の確保が必須であるとということを理解させてくれる。2013/03/03

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