内容説明
全国の、特に東日本の被差別部落に多く分布する白山神社。その謎に包まれた白山信仰の実態を追って、ハクサンからシラヤマへ、死と再生の儀礼の根源へ向かって、探求の手はとどまるところがない。柳田、折口に始まる民俗学の叡智を結集して、その神秘の空白部分に迫る、スリリングな書き下ろし。
目次
序 謎の白山信仰
1 山中他界
2 水の女神
3 白い神々の系譜
4 被差別部落が祀る白山神
5 南島のシラ
6 シラと白
7 逆転の構図
8 死と再生の民俗
終章 現代の白い闇―私たちはいかにして死ぬか
著者等紹介
前田速夫[マエダハヤオ]
1944年、福井県生まれ。民俗研究者。東京大学文学部英米文学科卒業後、新潮社に入社、文芸編集者として雑誌『新潮』編集長などをつとめる。退社後は法政大学で教鞭を執る。著書に『余多歩き 菊池山哉の人と学問』(晶文社、読売文学賞受賞)などがある。「白山の会」会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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らむだ
3
白山信仰の謎を辿りながら、読者を白山神社やシラヤマ、シラ、白など白に纏わる民俗学への道へ誘う。決して読みやすいという訳では無いが、種々様々なテーマが語られ次の1歩への手引きとなる書。2022/06/23
Hiro
2
白山信仰とは狭義には加賀白山の山岳信仰だと言うが、それはシラヤマとも呼ばれ、また白という色彩の持つ聖性あるいは逆に穢れのシンボルともされ、豊穣多産とも結びついてきたと言う。本書はそうした様々な白山、シラヤマ、あるいは白についての民俗学的な考察や取材の体験談、また柳田折口はじめ多くの研究者等からの引用からなる。多少雑多雑駁の嫌いはあるが、普段話題にならない特殊なテーマを紹介することには一定の意味があると思う。古い文献を読みやすく引用したり興味を惹きつけるような語り方の工夫がもっとあればよかったと思う。 2022/01/23
takao
2
ふむ2021/07/27
ひろゆき
2
あちこちにある白山神社とは何なの?と白山近くに住む故の好奇心から手に取る。朝鮮の白頭山などとの半島、大陸との関連、被差別部落との関わりなど興味深いが、あまりにも枝葉が多岐にわかれ、素朴な興味から始まった通読では、頭のなかでまとまらず、雑学程度しか知識残らず。2014/02/04
Kevin
1
白山神は大和朝廷にまつろわぬ民を罪人として報じ込めた場所で信仰された土着の宗教として広まったという説をベースに本来、神事の一部であったが死や血を伴う行為を穢れとして、それを専業とする民とともに囲い込んだのが部落民で彼らは再生をつかさどる白山神を拠り所にしたいう説に帰結する。理論展開が多岐に渡り、前提の知識のないものには難解である。学者の書物は往々にして見られる事であるが。2023/10/21