内容説明
古代軍事史はポエニ戦争とギリシアの重装備歩兵軍から筆をおこすことが多いが、これによって多くの誤解が生じた。古代にはエジプトからペルシアへと受けつがれた近東を中心に発達したギリシアとは別のもうひとつの戦争形態の流れがあった。これらを総合したのがアレクサンドロスという軍事的天才であり、これによって近代戦の祖型が生まれたのである。従来の通説に疑問を呈し、石器時代からアレクサンドロスにいたる古代戦史を新しい視点から見直した好著。
目次
第1章 先史時代の戦争
第2章 古代近東の戦争
第3章 アッシリアとペルシア―鉄の時代
第4章 古典期ギリシアの戦争
第5章 軍事革命
第6章 アレクサンドロス大王と近代戦の起源
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Saiid al-Halawi
6
古代に生み出された戦争の諸形態、諸戦術が、実はナポレオン戦争時代くらいまではさしたる進歩もなく続いてきた、という話。たぶん本質的には散兵戦術の隆盛~機関銃の登場くらいまでが過渡期になると思うけど、この本通読すると本当にそう思えるから不思議。行軍とかロジスティクス、士気と統制まで、ここまで徹底して実像に肉薄しようとする内容も珍しかったのでめちゃくちゃ面白かった。それとこれ読むとフィリッポス2世の株が上がる。2015/02/19
すずきん
2
戦争の起源、というテーマとしてはやや弱いような。 先史時代及び古代の戦争といった内容。そちらの観点でいえば満足できる内容だと思う2016/04/03
ハルバル
2
古代軍事史の概説書。戦史時代からアレクサンドロス時代までの戦術や兵器の発展がよく分かる。普通はあまり言及されない古代近東、アッシリアやエジプトについても書かれていて面白かった。古代では近東の方が軍事面でも発達していてその影響力はギリシャに及び、マケドニアの統合軍として結実し、ついにはペルシャを征服するのだからなんて壮大なんだろうか。著者は軍事史上でのアレクサンドロスの功績を高く評価していて、ワーテルローでウェリントン軍と戦わせるシュミレーションまでやっていた2014/09/17
大蔵大臣
0
戦争原因論の古典......ではなく先史時代からアレキサンドロスまでの軍事技術、戦闘様式の発展を扱った軍事史。2025/01/17