内容説明
国際交易の覇者が支配した「もう一つの日本」。サハリン・シベリアから鎌倉までを視野に、北の中世史を検証。北方地域史を超越した「新視点」によって、中世国家論にまで言及した画期的成果。
目次
第1部 基調報告・講演・コメント(津軽安藤氏の歴史とその研究;安藤氏と津軽の世界;鎌倉建長寺と藤崎護国寺と安藤氏;平泉藤原氏と津軽安藤氏;アイヌ民族と安藤氏)
第2部 シンポジウム(北の中世を考える)
第3章 シンポジウム参加記(『藤崎系図』と『秋田系図』の関係;北の中世を垣間見る;安倍一族の末裔に生まれて)
感想・レビュー
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mk
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津軽安藤氏の政治経済拠点として中世の北奥(さらに広く北東アジア地域)に相応の位置を占めた藤崎を主題とするシンポの記録。冒頭の小口報告で安藤氏研究の要を得たまとめがあり、安藤氏研究の根本に関わる系図史料論が整理されている。京・鎌倉や大陸、アイヌ社会との関係を踏み込んで検討した入間田・榎森両報告も貴重なもの。遠藤・大石両報告は日本国の北東北支配との関わりで平泉藤原氏の性格にも言及。その他当該地域の板碑分布や鉄器流通の実態に関する評価も織り込まれ、1990年代の東北中世史研究の底力を感じさせる一冊である。2016/03/29