内容説明
「天皇」と「カリスマ=神的存在者」の類似と差異を多角的視座から追求し、日本の精神風土に形成された「天皇」の意味を問い詰める、著者渾身の名著。
目次
1 天皇(天皇制の宗教的基礎構造;古代天皇の呪的カリスマ;親鸞における「内なる天皇制」;万世一系のメシア)
2 自己神化(アジア的人格神信仰の基礎構造;差別の体系と現世放棄の思想;自己神化の論理)
3 カリスマ(聖者革命―ガンディーの事例;反対宗教改革―藤井日達の事例)
感想・レビュー
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うえ
1
「われわれ日本人の側が,同時に人間であり神主であり生き神であるような「天皇」という存在を必要としてきた」「ウェーバーによれば,神政政治の元首として歴史的に君臨してきた天皇は,徳川幕藩体制の確立以降,京都の「教権制的な密室」に閉じこめられてきたといっている」「『伝暦』は,その下巻の末尾において,聖徳太子の死語にあらわれるさまざまの異象を,淡々と記していく」「「東方より種々の雲気飛来て,斑鳩の宮の上を覆い,天に連りて,やや久うして悄ぬ。又種々の奇鳥有て,上より下り,四方より飛来て悲しみ鳴く」」2014/07/10