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出版社内容情報
書店発、静かな口コミがひろがり、
フランスで60万部の大ベストセラー
種を超えた、魂の交流と愛
小さな奇跡を起こす、感動のノンフィクション
ページをめくれば、
あなたの犬が家の中を駆ける足音が、
声が、そして匂いがよみがえる
人生を素晴らしいものにする決定的な出会いは、味気ない日々にいきなり起こる――
地方情報紙で目にした「飼い主募集」の広告からすべては始まった。
フランス、アルプスの山間の村での、一匹のベルン・ブービエ種、ユバックとの暮らし。
たくさんの散歩、分け合ったサンドイッチ、眠りについて、一つに溶け合う脈。
人間と犬の種を超えた結びつき、そのかけがえのない時間を振り返る、普遍の愛の物語。
||犬を飼ったことがある人なら誰でも覚えのある、印象的なフレーズが満載||
「いずれにせよ、誰かが君を飼うことになるだろうが、それが僕だったのは、そんなに悪くなかっただろう」
わたしたち人間がなぜ犬と話そうと頑張るのかわからない。おそらくそれぞれが密かに、自分が地球上でただ一人、その犬が答えてくれる人物になりたいと夢見ているのだ。
バンに戻ると、ボウルに水を少し入れて、ユバックに勧めてみる。彼は飲んだ。彼の喉の渇きの気づきに成功。このささやかな読み取りに、わたしは嬉しくなる、幸福とは、ほんのわずかな技術なのだ。
わたしたちはカーペットのうえにぐったりと伸びて夜を過ごす。わたしの存在を知らせるために彼と同じ高さになると、彼は小さな体をわたしの脚の間に横たえる。この後わたしが床に座るたびにいつもそうするように、わたしの鼠蹊部に頭を乗せてため息をついている。そのうち彼は眠り、わたしたちの脈は一つになる。この交じりあう穏やかな時間が気に入って、わたしはそれからずっと床に座る暮らしをすることになる。
今まで同じ誰かとこんなにたくさんの時間を一緒に過ごしたことはなかった。わたしが歩く時、わたしたちが歩く。彼が立ち止まる時、わたしも止まる。ある朝わたしたち、ユバックとわたしが膝と脇腹を接しながらのんびり歩いていると「どっちがどっちを連れてるの!」と、通りがかった知人がわたしに言った。そうなのだ、この互いの均衡、アーチ構造が迫り石で一つに合わさって、頑丈になっているのと同じ。もう一人ではないということでなければ、愛とはなんなのだろう?
【目次】