内容説明
喪失、孤独、ユーモア、優しさ…心の内に秘める思いが鋭く豊かに描かれた唯一無二の作家による珠玉の11編。13年ぶり最新短編集!これまでの優れた短編の作品群に対してPEN/マラマッド賞を受賞。ピューリッツァー賞、ストーリー賞、ロサンゼルス・タイムズ文学賞、マーク・トウェイン・アメリカン・ヴォイス・イン・リテラチャー賞の最終候補作。「ロサンゼルス・タイムズ」紙、「エスクァイア」誌、「ヴァルチャー」誌、米国公共ラジオ放送などで年間ベストブックに選出!
著者等紹介
篠森ゆりこ[シノモリユリコ]
翻訳家
リー,イーユン[リー,イーユン] [Li,Yiyun]
1972年、北京生まれ。北京大学に入学し、生物学を専攻。卒業後の1996年にアメリカに留学し、アイオワ大学大学院で免疫学を研究していたが、進路を変更し同大学院の創作料に編入、英語で執筆するようになる。2005年に短編集『千年の祈り』を刊行し、フランク・オコナー国際短編賞、PEN/ヘミングウェイ賞、ガーディアン新人賞などを受賞。これまでにPEN/マラマッド賞、PEN/フォークナー賞、PEN/ジーン・スタイン賞、O・ヘンリー賞など数々の賞を受賞。現在、プリンストン大学で創作を教えながら、執筆を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キムチ
57
読み始めから10日要しほとほと神経が参らされた。リー作品は好きで結構読んできたが これは初めての事態。当作品、彼女が14年間書き溜めていた短編集との事。リーは既に50の大台となり国内での評価は高いものがある。だがこの時間に至る軌跡の痛みは他者には計り知れぬ衝撃のそれ。11編は短編と中編。男女間・夫婦間・職場上司 同僚間∼社会での種々の人間関係が描かれている。平凡な島国で生まれ育った私からすると心の襞に刻み込まれた血が滴る様な描写の連続は低レベルの私に未消化。心無しか篠森氏の後書きも重み増している ?感あり2025/03/24
ヘラジカ
41
いずれの短篇も容易に咀嚼することは出来ない。登場人物の背景や家族関係、置かれた環境や状況、人生に対するスタンスなど、短い作品でも容赦なく重みと立体感を持たせるのがイーユン・リーなのだ。世界と、人生と、家族と、創作と、苦しみながらも向き合い続けてきた作家だからこそ生み出せる小説の極み。気軽に読めて楽しめるという短篇小説からはかけ離れているが、この苦味もまた人が生きていく上では良薬になり得る。”書くこと”に関する一種の苦闘の言葉で締めくくられる最後の作品「すべてはうまくいく」が特に印象的だった。2025/02/25
ぽてち
30
14年の歳月をかけて書かれた11篇を収録した短篇集。だからというわけではないが、読む側にもそれなりの時間を要求する(←単に読了までに多大な時間を費やしたことの言い訳w)。著者は中国出身アメリカ在住の作家で、本書に収録された作品はすべて英語で執筆・発表され、アメリカで出版された。内容は著者自身の体験を反映したものが多いようで、なかなかに重く、考えさせられた。特に印象に残ったのは子供の死を扱った作品だった。巻末の訳者あとがきがボリューミーで情報豊富だ。2025/03/15
kibita
14
親の悲しみが沁み出してくるような作品が幾つか。その悲しみの深さは体験している当事者しか絶対に分からないから、安易な慰めや励ましは出来ないし要らない。淡々とした筆致が共感と他者である故に共感する事が出来ない申し訳ない気持ちを同時に湧き上がらせる。でも悲しみじゃない何かもあって、訳者のあとがきでそれが分かった。リーは「悲しみと不幸は大きく違う」と。悲しみとの付き合い方を考えさせられた。全部良かった。2025/04/23
星落秋風五丈原
14
子供が死んだ短編が多かったように思う。2025/03/20
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