出版社内容情報
1949年8月、ナクバ(大災厄)渦中のパレスチナ/イスラエルで起きたレイプ殺人と、現代でその痕跡を辿るパレスチナ人女性。二つの時代における極限状況下の〈日常〉を抉る傑作中篇。
この作品の「細部」に宿っているものは、私の精神世界を激しく揺さぶり、皮膚の内側を震えさせる。この本の中の言葉の粒子に引き摺り込まれ、永遠に忘れられない体験になり今も私を切り刻んでいる。
――村田沙耶香氏(作家)
かき消された声、かき消された瞬間と共にあるために、この小説は血を流している。
――西加奈子氏(作家)
*2023年、本作はドイツの文学賞であるリベラトゥール賞を受賞。しかし同年10月、イスラエルによるガザへの攻撃が激化するなか、フランクフルト・ブックフェアで開催予定だった授賞式は同賞の主催団体リトプロムによって中止され、ブックフェアは「イスラエル側に完全に連帯する」との声明を出した。この決定に対しては、作家や出版関係者を中心に、世界中から抗議の声が上がっている。
内容説明
1949年に起きたイスラエル軍によるベドウィン少女のレイプ殺人と、秘匿されてきたその事件の真実を追い求めるパレスチナ人女性。現代パレスチナ文学の旗手が描出する、けたたましい沈黙と張り詰めた不在の物語。
著者等紹介
シブリー,アダニーヤ[シブリー,アダニーヤ] [Shibli,Adania]
1974年、パレスチナ生まれ。イースト・ロンドン大学にてメディア・文化研究の博士号を取得し、現在はエルサレムとベルリンを拠点に小説、戯曲、エッセイなどの創作をおこなう。2009年、39歳以下の有望なアラブ作家39名を選出する「ベイルート39」に名を連ねる。本作『とるに足りない細部』は2017年にアラビア語で発表されたのち各国語に翻訳され、全米図書賞翻訳部門最終候補(2020年)、国際ブッカー賞候補(2021年)になるなど高く評価された
山本薫[ヤマモトカオル]
1968年生まれ。アラブ文学研究者。博士(文学)。慶應義塾大学総合政策学部准教授。パレスチナやエジプトを中心に、文学・音楽・映画など、アラブ圏の文化・芸術について研究・紹介をおこなう。2014~15年には、最も注目されるアラビア語小説の国際的な賞(International Prize for Arabic Fiction)の審査員を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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