希望のかたわれ

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  • サイズ B6判/ページ数 314p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309206813
  • NDC分類 943
  • Cコード C0097

出版社内容情報

チェルノブイリの立入禁止区域に住む女性と行方不明の娘。戦争と原発の暗い記憶を描く人間ミステリ。独語圏推理作家協会賞最終候補。

【著者紹介】
1960年独ケルン生まれ。セラピスト、レストラン経営など様々な職を経てから作家活動に入る。『沈黙を破る者』でドイツ・ミステリー大賞受賞。ほかに『ヴァイオリニスト』など。ドイツ語圏注目の女性作家。

内容説明

冬の寒空の下、北ドイツの農場主レスマンは、薄い服を身にまとって逃げてきた若い女を匿い、追っ手の男たちを銃で追い払う。一方、チェルノブイリ原発の立入禁止区域“ゾーン”で暮らす女性ヴァレンティナは、行方不明の娘カテリーナのために自らの思い出をノートに綴りはじめる。そして、ウクライナ警察の警部レオニードは、姿を消した若い女たちを追ってはるばるドイツに旅立つ。1930年代の大祖国戦争から、社会主義大革命、第二次大戦中の忌まわしい出来事、チェルノブイリの輝かしい日々…。戦争と原発の暗い記憶を抱えて生きる人々を描く文芸ミステリ。

著者等紹介

ボルマン,メヒティルト[ボルマン,メヒティルト] [Borrmann,Mechtild]
1960年ケルン生まれ。セラピスト、ダンスの振付、レストラン経営など、多彩な職を経た後、2011年から専業作家として活動。2006年Wenn das Herz im Kopf schl¨agtで作家デビュー。『沈黙を破る者』(河出書房新社)でドイツ・ミステリ大賞第1位に選ばれる

赤坂桃子[アカサカモモコ]
ドイツ語・英語翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

25
裸同然の姿で逃げ込んできた若い娘を匿った農夫。留学中に行方不明になった娘を探している被爆者の母。女子大生留学事件を追う刑事。3人3様のドラマが並行して描かれ、やがて一つの共通点に収れんされていく。本来の刊行予定を変更してまで本作の日本出版に踏み切ったのは福島の事故があったから。確かにあの時は「ソ連から何か有害な物質が来たら困る」と全くの第三者的かつ被害者的な意識で見ていた。しかし今回はそうではない。内容からして難しいかもしれないが小学生高学年くらいにも読んで欲しい内容。2015/09/30

かもめ通信

25
ウクライナのチェルノブイリ原発事故後立入禁止地域(ゾーン)に移り住み、消息不明となっている娘の帰りを待ちわびる女性ヴァレンティナ。組織内の腐敗と対峙しながら失踪した若い女性達を探すキエフ警察の警部レオニード。ドイツのニーダーライン地方の村で男達に追われているらしい一人の娘を匿う男レスマン。それぞれが直面する物語がそれぞれの角度から並行して語られていく。丁寧な取材によって裏打ちされた“現実”を、惜しみなく土台につぎ込んで築き上げられた物語は、ミステリ好きはもちろん社会派好みの人にもお薦めできる一作だと思う。2015/09/27

ようた

24
チェルノブイリ事故とウクライナの女学生の人身売買、警察の汚職が描かれています。重苦しい作品ですが、彼女たちの行く末が気になり読み進めました。特にチェルノブイリ事故後の人々の生活がとても過酷に描かれていて、胸が詰まりました。あとがきに書かれていましたが著者が福島の事故のニュースを見たときに、チェルノブイリを思い出したのを機に執筆したとのことで、福島が起こるまでチェルノブイリのことを忘れていてしまっていたことが何よりショックだったとの事でした。僕自身も折に触れ思い出さないといけないと感じました。2016/01/20

ののまる

17
ウクライナ・・・戦時中も、チェルノブイリも、悲惨な経験がすごすぎる。ポーランドとともに地勢的にそれは運命といってしまったら、失礼だ。というぐらいの。2016/01/24

ぱせり

13
「ふ・しあわせ」で毒にまみれた「希望」のあいだから、地に足のついたまっとうなものが現れるのを感じる。維持することも、探すことも困難だけれど、いくつかの顔を思い浮かべながら思う。絶望といいたくなるような悲しみを前にして、やっぱり明るいものとして希望が生まれてくる様を、思い浮かべてはいけないだろうか。しあわせでもふ・しあわせでもないものを探して。2016/01/11

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