出版社内容情報
父が遺した書類に潜む忌まわしき記憶。ナチス支配下の悲劇と、その真相を追う現代の物語が交錯する。独ミステリ大賞第1位の傑作。
【著者紹介】
1960年生まれ。さまざまな職を経験した後、作家に転身。第4作目の本作で、ドイツ・ミステリ大賞第1位に選ばれた。最新作『ヴァイオリニスト』も好評。
内容説明
大農場の陽気な赤毛の娘アルヴィーネ、その思慮深き兄ヤーコプ、がっしりした実業家タイプのヴィルヘルム、大きな水色の目をしたきまじめなハンナ、文学を愛するレオナルト、活動的で美しく聡明なテレーゼ…。1939年夏、共に過ごした幸福な時間は終わり、戦争が始まろうとしていた。不可解な殺人事件を追うひとりの巡査、50年の時をこえてよみがえる戦時下の出来事。ドイツ・ミステリ大賞第一位。気鋭の女性作家による静かな傑作。
著者等紹介
ボルマン,メヒティルト[ボルマン,メヒティルト] [Borrmann,Mechtild]
1960年ケルン生まれ。セラピスト、ダンスの振付、レストラン経営など、多彩な職を経た後、2011年から専業作家として活動。2006年Wenn das Herz im Kopf schl¨agtで作家デビュー。『沈黙を破る者』でドイツ・ミステリ大賞第1位に選ばれる
赤坂桃子[アカサカモモコ]
ドイツ語・英語翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ガクガク
57
2014年12月の読書会テーマ本。気鋭の女性作家による2012年ドイツ・ミステリ大賞第1位作品。父の遺品から出てきた若き女性の写真とナチス親衛隊の身分証明書。父はこの他人の証明書で戦後を逃げ延びたと言う。そしてこの女性は一体誰なのか?父の恋人なのか・・・1枚の写真の謎を追う旅は、やがて忌まわしい戦争に翻弄された時代に隠された父の大きな秘密を暴くことに・・・。簡潔な表現と静かな筆致、確かに練り上げられた人物描写で描かれる物語は、衝撃のラストに。「愛は殺す」のか?・・・個人の運命に映し出された歴史の影の物語。2014/12/08
藤月はな(灯れ松明の火)
40
戦争時には皆が罪人であると同時に、善良にも「正義」を信じていた。この状況によって変わった正義や道徳観の中では自分を貫くことは難しい。誰もが罰が永遠に下される事のない罪の十字架や喪失の悲しみ、後悔などを秘することで負う苦しみを抱え、生きながらえなければならないならば、それを誰かが無闇に、共に背負うという覚悟もなく、暴いてもいいのだろうか?それは本当に「正しい」ことなのか?そんなことをふと思いながら読んでいました。そして可笑しな事ですが徐々に真実が近づくにつれて「お願いだからそっとしておいて」と祈っていました2015/05/18
Wisteria
22
第二次世界大戦時のオランダの話を続けて読んでいたので、たまたま同じ時代のドイツを舞台にした物語で不思議な感覚で惹かれた。運命の悪戯なんて薄っぺらい言葉では語れないけれど、この時代こういう話は実際にもありそう。登場人物も多く過去と現在が交互に語られる為、行きつ戻りつしながらも激流に飲まれるように読んだ。とにかく面白かった。もう一度ちゃんと読まないと。まだ頭の中がごちゃごちゃしている。「希望のかたわれ」も読んでしまったし、次はいつになったらボルマンの新しい作品を読めるだろう。すごく好きなのになぁ。2016/07/02
rena
20
読書好きの友人からもらった本を積読本からやっと読む。さすが、ドイツミステリ1位になっただけあり一読、再読の価値あり。重いテーマ、登場人物も横文字名で 相関図がないので苦労したもののもう最後は、茶店から出られなくなる程の展開。 ごく普通の仲良し6人の子供らが戦争の暗い背景とそれでも青年期特有の恋愛模様 も絡め、親たち、ナチス、村の人間関係 が交差して思わぬ結末に。過去と現在が 交錯するので忙しい。この人もダンサ振付 レストラン経営、セラピストなど職をいくつも渡り歩いて作家。人間観察がすごい。2016/06/30
ののまる
12
ハラハラドキドキ、犯人は誰?的なものはないのです。告白して言っちゃうので。でも戦時とはいえ、それぞれの負った人生の重さが迫ってきます。2022/05/03