感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃっぴー
17
死を直前に意識が混濁したなか、ふと蘇った忘れていた思い出。ある夏のたった数日間の恋。それは甘くてとてもせつない。思い出したくない辛い恋、でもその時のことが自分にとってどれほど大切なことだったのか。心がきゅるるんとなった読書体験でした。翻訳も良かったです。2015/03/20
雫です。
3
観たい映画の一つの原作。現実と記憶との曖昧な読みにくい文体だったけど、そこが逆に良かったのかも。人生の終焉を迎えるときは、病院ではなく、自分の家で迎えたいものだ。この主人公のように自分の一番輝いていたときが頭の中に映し出されるのだろうか?3度結婚して、3種類の人生を歩んだ主人公の最後の記憶は、独身時代のあるひと夏の出来事だった。ただ、この時の彼と結婚していたとしたら、どうなっていたのだろう?人生の岐路は至る所にあって、その時々に自分で決定しながら、歩んでいくしかない。2009/09/12
おだまん
3
ホワイトデーに。永久の眠りにつく前に紡ぎ出される美しい思い出の数々。そんなステキな人生を歩んでいけるんだろうか。永久の眠りにつく前に紡ぎ出される美しい思い出の数々。そんなステキな人生を歩んでいけるんだろうか。2008/03/14
桐一葉
2
映画がすごく好きやから読んでみた。丁寧に物語を綴らはるなぁ。もっかい観たくなった!2016/04/22
燕
2
死に直面した女性の夢と現実、過去の思い出と現在が混濁して溶け合っていく感覚が、独特の平らに溶けていくような長い文体で妙にリアル。複数の男の中でひときわ鮮烈に立ち昇る1人の男の思い出は、彼女が若い女の子から、大人の女性に成長するまさにその瞬間の「痛み」を刻印したのだ。そしてそのまさに同じ時、裏側にはもう1人の男の死が仕掛けられている。少女時代と過去の男の死と今死にゆく女の誕生の思い出が重なる。そして彼女自身の死の時、夢は…。個人的にも、ある人の死の直前に読み始め死の直後に読了、違う世界に深く降りるような感覚2015/04/11