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内容説明
ダブリン西郊のチャペリゾッド。雨の降る五月の夜更け、教会の墓地で埋葬に備えて墓穴を掘っていると、奇妙な穴が穿たれた謎の頭蓋骨が出土した。―上流階級を舞台とした陰惨な殺人事件、白い手の幽霊が出るという古びた館、死と再生の巧妙な筋立て…凶悪な殺人犯が舞い戻り、事件の意外な真相が明らかになる。ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』にモチーフを与え、ブロンテ姉妹に霊感を与えたアイルランド19世紀ゴシック・ホラー小説の大傑作、本邦初訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
59
18世紀後半、ダブリン近郊のチャペリゾットという村を舞台としたゴシック風ミステリ。二重結婚や親の敵討ちといった家庭的・社会的な問題に、墓地に建つ幽霊屋敷という怪奇要素や、素性のしれないよそものが持つ妖しげな雰囲気を盛り込んでいるが、あまりにも登場人物が多すぎ、次々いろんなことが起こりすぎ、長さと仰々しさの割には、今一つ。ジェイムズ・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』の雷の夜の墓地の光景は、この作品から着想を得たもの。『フィネガンズ・ウェイク』の中には、レ・ファニュに関する言葉遊びが何度も出てくる。 2016/10/17
カケル
1
菊版、二段組、549ページ、プロローグ含めて全100章。しかし雑誌連載小説の為、1章の分量は多くなく文章も平明で読み難さは無い。怪奇、サスペンス、恋愛、悲劇、ドタバタ喜劇とてんこ盛りにして破綻無し。オースティンやブロンテに比すべき傑作だと思うが、やはり通俗過多と感じられたか。史上最強の二次創作小説『フィネガンズ・ウェイク』の元ネタ。2022/04/09
timeturner
0
18世紀、アイルランドの小さな村、殺人事件、貴族の冤罪、恋の駆け引き、ドタバタ喜劇・・・笑えてハラハラできてなごめる。2012/04/08
ゆーいちろー
0
自分程度の読書家の知識としては、レ・ファニュと言えば怪奇、恐怖小説家なのであって、その上、本書の帯にも「19世紀ゴシック・ホラーの大傑作」なんて謳ってあるものだから、てっきりホラー小説なのだと思っていたら、ホラーというよりはサスペンス…?犯罪小説なので、ある意味拍子抜けした感もある。前半、チャペリゾットの人々の生活を巡る冗長さに、幾度か挫折しそうになりつつも、後半に至ると俄然、緊張感が増し、大団円に至っては何とも言えない満足感に浸される。本書を読んで「ツインピークス」を思い出すのは私だけでしょうかね?2018/09/07