内容説明
幻想の旅を行うマルコ・ポールが憂い顔の皇帝フビライ汗に語る55の都市の変奏曲。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内島菫
36
マルコ・ポーロがフビライ汗に語る口調で描かれる都市が幻なのか、語り合う二人が幻なのか彼ら自身にも判然としない。が、彼らは判然としないことを楽しみ都市についての語りをきっかけとして、時間や空間に関係なくあらゆるものが血管のように、あるいは、木の根のようにつながり、すべてを抱え込んでゆくようにも思える。そうした言葉が紡ぎだす都市である以上、記号との関係は避けて通れず、描かれたものが別のことを表す看板がごちゃごちゃと突き出ているタマラや、その記憶が記号を繰り返すジルマ、記号が差異を失い記号でなくなるようなゾエ、2019/02/05
maimai
12
新年一発目は、もう何度も読み返しているこの本。やはり素晴らしい。とても美しい小説だ。2018/01/01
ぞしま
12
夜寝る前などにちょぼちょぼ長い時間をかけた末にやっと読了。書かれているものは明白にも思えるのだが、茫漠としていて捉えがたい。ヴェネツィアの下りなどは興奮して読んだが、それはなんか違う気がする。再読リストに追加。ー2016/12/29
マコ
11
読んでいて浮遊感を味わえた。ここはどこなのか、あなたは誰なのか、いまはいつなのか、すべての境界が曖昧になっていく。ずっと読んでいたらこの都市から出られなくなりそうな、とっても危険な一冊でした。2017/06/30
OZAC
11
古書店で購入してからしばらく積読したままだったカルヴィーノの「見えない都市」をようやく読了。幻想都市というだけあって抽象的な表現が目立つので好き嫌いがわかれるかもしれないが、個人的にはかなり好みだった。一気に読み進める本というよりは、一つ一つの都市を実際に訪れるようにゆったりと読んでいくのがいいかなと思う。2017/06/29