内容説明
南イタリア―サルデーニャ島、シチリア島、ナポリ…地中海が生んだグラムシ、パヴェーゼ、デレッダ…現代イタリアの来た道。人びとの戦後と、社会の精神を探りながら旅する詩情豊かな紀行エッセイの名著。
目次
ナポリ(記憶のかなたの古代;壊れやすさと物憂さと錯乱;どうすべきか ほか)
南部(南部問題;マグナ=グラエキア)
サルデーニャ島(天使;夜明けと勇気とカーブ;死んだ水、聖なる水、流れる水、苦い水 ほか)
シチリア(主人とその他の者たち;パレルモの信仰;励ましとぺてん ほか)
感想・レビュー
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新地学@児童書病発動中
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小説家でもある作者が、イタリアの南部について書くエッセイ。北部とは異なった生活やそこに暮らす人々の息遣い、美しい風景などを鮮やかに描いている。1965年の本なので、イタリアの南北問題など変化していることは多い。それでもこの本の価値が薄れないのは、小説家として感性を通して、南部イタリアという独特の風土を詩的に表現してるからだろう。地中海の明るさと貧困やマフィアの問題という光と影の交錯が、読者の胸に迫ってくる。牧歌的で独自の社会を持つサルデーニャ島と、マフィアに支配された悲劇的なシチリアの対照が心に残った。2017/11/03