内容説明
1830年代、夏から秋のプロヴァンスの自然を背景に繰り広げられる軽騎兵アンジェロの愛と冒険の物語。イタリアの祖国独立のために戦うことを自らの使命とする主人公のアンジェロは、亡命先の南仏で、はからずもコレラの大流行のただなかに放りこまれる。人を救うとは何か、愛とは何か、生と死とは何か、自由とは何かについての真実を問いながら、無垢な魂の遍歴が物語られる。詩的な自然描写と小説の楽しさにあふれたジオノの代表作である。
感想・レビュー
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takeakisky
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イタリアから南フランス、そしてまたイタリアに向かって。目を覆うようなコレラの流行。こちらも熱に浮かされたように読むことになる。アンジェロ。彼の胸中は、饒舌なようで、往ったり来たりが多く、窺いしれない余地がいつまでもある。会話にしても、意味するところが捉えづらく、言外の意がありそうで、蚊帳の外に置かれている感じ。どこか安心できない本。読み了えるのに大層時間がかかった。この本の世界に戻るのには大分苦労するし、たびたび本を置きたくなる。しかし、戻らずにはいられない。そんな本だった。ル・モンド今世紀の100冊。2023/01/26