内容説明
「かわいそうに、ディグナム!」―リアポウルド・ブルームは長い一日の放浪に旅立つ!6月16日の朝、ブルーム氏は猫にミルクをやり、肉屋の店頭で隣家の女の尻に見蕩れ、妻のモリーに朝食を作り、密かな文通相手マーサの手紙を受け取り、友人ディグナムの葬儀に加わる。―最も偉大な平凡人ブルームがそのリアルな姿を現す、スリリングな旋律に満ちた第二部冒頭三挿話の正確無比の演奏。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
86
内容は混沌としつつも表現が露骨に猥褻になってきた二巻。そういえば、この小説、アイルランドでは一時期、発禁扱いになったんだっけ・・・。4は腎臓料理の美味しそうな描写に唾を呑むも、肉屋で見かけた女性の尻を視姦し、あまつさえ、懇ろになりたいという欲望に呆然。5については容姿だけでなく、性器すらも花に例える表現が目白押し。そして可愛い絵柄なのに男根がしっかり、描かれている押絵も封入されていてこれ、公共の場で読んでいたら間違いなく、撃沈する奴やで・・・。6は窓辺に突如、現れて消える老女の顔など、幻想小説風味ですね。2017/09/17
SIGERU
17
この巻には、四章「カリュプソー」五章「食蓮人たち」六章「ハーデス」が収められている。禽獣の臓物に目がない男、リアポウルド・ブルーム氏のダブリン遍歴が果てしなく続く。博学才頴のきわみな引用の洪水、脊椎反射のように乱れ飛ぶ言語遊戯。言葉の奔流に掉さすのがやっとだ。『荒地』の詩人エリオットなら、こう慨嘆しただろう。「そして俺たちは溺れる」と。肉屋で出逢った隣家の女中の壮麗なお尻に見惚れたブルーム氏は、ふらふらと後を追いそうになり、我に返る。微妙に性的な擽りが随所に。英国紳士流の韜晦と云うべきか。2021/03/27
paluko
7
奇蹟か。とつぜん面白くなってきた。4章「カリュプソー」5章「食蓮人たち」6章「ハーデス」を収録。主人公すなわちユリシーズ(オデュッセウス)に相当するリアポウルド・ブルームが焼いて食べる腎臓が美味しそう。でも、柳瀬尚紀さん訳はあと12章「サイクロプス」で終わっているんですよね……2021/10/03
ハニ
2
良さがわからん。 2011/07/13