内容説明
サバービアの憂鬱、日常のなかの孤独…。だが、世界はときどき美しい。アメリカ随一の短篇の名手ジョン・チーヴァーの傑作短篇集。全篇本邦初訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
マリカ
22
どの作品にも共通しているのは、語り手である主人公の内なる輪郭が正確に、かつ、閉じられた線で描かれているところだと思う。それゆえに、チーヴァーが描く人物は、それぞれが全くユニークな存在であり、他者との距離がとても遠く感じられる。しかし、チーヴァーはこうも教えてくれている。人は孤独ゆえに、思いがけず他者との出会いや交わりに救われることがあると。ちょうど、気まぐれに通った橋の上でヒッチハイクをしていた天使に救われるように。2012/06/22
奏市
11
こんなに酒飲みながら読むのに合う本もなかなかない。1950年代のニューヨークなど東海岸が舞台、だいたい主人公は30,40代で成功する人生から遠ざかっている。なぜつまずく彼ら、幸運から見放される彼らの話を読んでいると心休まる自分がいるんだろう。そこまで醜悪で無いと安堵したり、自分はまだましだと思うからなのか。そう思いながら読んでいると『海辺の家』では「彼が失くしたものは私のものではなかった。にもかかわらず私は、彼の喪失感を自分のもののように強く感じたので、その夜ひとりで過ごす気になれなかった」とあった。2026/03/11
樽
6
村上春樹編纂の短編集よりも暗い雰囲気の作品が多いように思う。じわじわと陰鬱な気分がこっちにも染み込んでくる感じがした。2022/12/11
くさてる
3
短編集。なんとも救われない感じで、気が滅入る雰囲気が立ち込めていて、ラストに爽快感はない。それでもするすると読まされてしまった。アーウィン・ショーを思い出す。パニック障害になった男のある出会いを描いた表題作だけが、曇り空から不意にのぞいた虹の切れ端のようなぼんやりした明るさをもっている。しかしこの作品に関しては、表紙の装画に騙された…。担当した人、本当に作品を読んだんだろうか?2014/02/04
sujie-may
3
海外の文学を読んでいる時、どんな物語であっても、自分の住んでいる世界にはない何か「素敵なモノ」を探してしまう。舞台がアメリカだったらなおさら。だけど、この短篇集に詰まっているモノは、どれも安っぽくありきたりで、わたしたちがよく知っている、うんざりさせられるモノばかり。たまに素敵な骨董が登場すると思ったら、裏切られるし。全然素敵じゃない。それがすごい。わたしたちが憧れていた物質的な豊かさに、アメリカ人は50年も60年も前からうんざりしていたんだな。しみじみ哀しい。2012/10/09




