内容説明
あやしいまぼろしのような空間と時間―。遙かな風の夜の悪夢にも似た不思議な小説。衝撃の純文学。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りー
11
女子の会話が飛躍しすぎて理解できないって?そんな戯言はね、これ読んでから言いなさいよ。意味わからん。しかしそれが楽しい。2016/03/11
三柴ゆよし
11
春の残雪祭り三冊目。異様な物語を更に異様な物語が咬み殺す運動性が垣間見えてきた。2016/03/11
gu
6
湿気が多く塵芥が堆積しているのに土着的とも言い切れない不思議な感じ。夢の論理と生活が混在する、地に足の着いた別世界感。カフカ的とはおいそれと言えない。登場人物の多くは猜疑心と卑小な悪意だけを表現し、地上的どころか地面に半分足が埋まっているような作品世界。にもかかわらず出来事や言葉は夢の次元で繋がって、いつの時代ともどこの場所とも知れない印象を与える。かみ合わない会話を誰も気に留めないのは、自分以外をすべて敵(「賊」)と捉えてコミュニケーションを拒絶する彼らのあり方の現れではないかと思う。2019/08/13
王天上
4
「カッコウが鳴くあの一瞬」では、後半本気だされて、ちょっと理解不能になったけど、これは読みやすいです。出版当時にこの本を読んでいたら、その後の人生も違ったものになっていただろうと思わせる、しびれる一冊だった。2012/10/27
コウ
4
カフカに喩える人が多いんだけど、理解不能=カフカという図式にすると、双方にフェアじゃなくなるし、それだけで分かったような気になって思考停止しちゃうので、ここはやはり読んでもらわないと。とにかく悪夢的に不穏で、生と死のあわいに全てが漂っていて、空気感がやたらと粘っこい……脳みそを耳から出してみたい人向きの本であることは間違いないですね^^いや、これ残雪の小説全般に言えることなのですが。★★★★☆2008/06/23
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- 和書
- 祈りの朝 集英社文庫