出版社内容情報
【目次】
内容説明
個であることをやめるとき。名前も記憶も肉体も失って、気配や残像となったわたしたちの心は最後に誰と、どんな場所を訪れるのか。廃校の庭に集う人々、影になった犬と歩く山道、温泉街で再会した旧友、駆け巡る水の記憶…。生と死のあわいに見る、懐かしいのに不思議な風景。切なくも美しい旅の物語。
著者等紹介
絲山秋子[イトヤマアキコ]
1966年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、住宅設備機器メーカーに入社し、2001年まで営業職として勤務する。2003年「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞、2004年「袋小路の男」で川端康成文学賞、2005年『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、2006年「沖で待つ」で芥川龍之介賞、2016年『薄情』で谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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桜もち 太郎
19
絲山さんの9つの短編新作は、生と死の間を魂がふわりふわりと行ったり来たり、という感じで捉えどころのない物語だった。全く現実味がなく人の体から魂が遊離するのか、夢か真実なのか全くわからない。誰もかれもいつかはいなくなり、誰もが忘れ、忘れられる。「命を借りて生まれ、命を返した、それだけのことだ。何かのために生きた、などということはない。因果もなければ続きもない」、だったらなぜ人は生きるのか。過去は夢なのか。何となく滅入ってしまう。と同時に絲山さんの状態が少し心配になってしまった。2025/11/29




