彼の左手は蛇

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  • サイズ A5判/ページ数 196p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309032313
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

著者2年ぶりにして新たなる代表作、誕生!
<つまり言いかえれば、これはテロの書だ。誰も読んでは――>
3ヶ月前、「男」は仕事辞め、女性と別れ、世界中から失われた蛇信仰のあるこの地へ来た――平家が落ち延びたといわれるこの土地に。そして「この文章」を書いている。誰も読まない「この手記」を。
自分が人ではないと思っていた幼少時代の奇妙な記憶、有志によるQ山の毒蛇狩り、白蛇を祀る神社とその宮司、蛇を求める女、ある議員の死とそれを調べるQ署の刑事、ロー・Kというビジネスマン、そして......Apep。
いま男は、ある目的のために“1人”で動き出す。
「現在や未来で、過去は変えられるんだよ。……起こったことは変えられないけど、その後の時間をどう生きるかで、過去の印象や意味合いは変えられる」
(本文より)
世界も注目する作家・中村文則が贈る傑作!
【著者略歴】
中村文則(なかむら・ふみのり)
1977年愛知県生まれ。2002年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。04年『遮光』で野間文芸新人賞、05年『土の中の子供』で芥川賞、10年『掏摸』で大江健三郎賞を受賞。12年『掏摸』の英訳が米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の年間ベスト10小説に選ばれる。14年米国のDavid L.Goodis賞を受賞。16年『私の消滅』でドゥマゴ文学賞、20年中日文化賞、24年『列』で野間文芸賞を受賞。他の著書に『何もかも憂鬱な夜に』『去年 の冬、きみと別れ』『教団X』『R帝国』など。エッセイ集に『自由思考』、対談集に『自由対談』がある。


【目次】

内容説明

「男」は蛇信仰のあるこの地へ来た、ある目的を果たすために。蛇を求める女、謎の宮司、刑事、ある議員、ロー・K、…Apep。

著者等紹介

中村文則[ナカムラフミノリ]
1977年愛知県生まれ。2002年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。04年『遮光』で野間文芸新人賞、05年『土の中の子供』で芥川賞、10年『掏摸』で大江健三郎賞を受賞。12年『掏摸』の英訳が米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の年間ベスト一〇小説に選ばれる。14年米国のDavid L.Goodis賞を受賞。16年『私の消滅』でドゥマゴ文学賞、20年中日文化賞、24年『列』で野間文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

146
中村 文則は、全作品読んでいる作家です。 https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11074106?sort=book_count&order=desc 本書は著者2年ぶりの新作中篇、蛇信仰アヴァンギャルド、初期の中村 文則のティストに戻った感じです。今年、巳年、著者も私も年男ですが、私の左手は、蛇ではありません🐍🐍🐍 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001089.000012754.html2025/11/09

ケンイチミズバ

65
伊坂幸太郎と中村文則のコラボか。「他人と過去は変えられないが自分と未来は変えられる。」をテーマに。夫を殺害してしまい森に遺棄する。方や議員を毒蛇に噛ませ林に遺棄する。ジャバウォックに、蛇神に憑りつかれた人の行為は人自身の悪意ではない許しがあり、それぞれ主人公をサポートするキャラがいる。そしてカメとヘビ。20年のブランクで曖昧な記憶と幼少期から靄がかかる記憶。正義の発露は、道徳的悪の権力を倒すこと。ジャバウォックの軍事利用を企む実業家、方や武器商人。倫理的にも法的にもスッキリしないながらこれはいいラストだ。2025/11/07

優希

44
シンプルながらも濃い作品でした。左手に蛇を宿した主人公が静かに世の中の不条理と向き合う様子が「手記」という形で紡がれます。蛇を信仰とする古い歴史。蛇は神秘の象徴でもあり、宗教の象徴でもあるのですね。虚で狂気を孕んだエンタメ作品と言っても良いでしょう。面白かったです。2025/11/11

Y2K☮

33
二周目の円熟した中村文則が初期作を書いた雰囲気。随所にノイズめいたものが入ってくるのは、思考の乱れをなるべく正確に言語化する試みだろうか。著者の半生を知るわけではないが、作品を何冊も繰り返し読んでいると「実際にこういう体験をしたのかな」というものが浮き上がってくる。もしかしたら、それらを最も赤裸々に素材として用いた一作かもしれない。現在進行形の彼が抱えているであろう葛藤も含めて。猛毒を持った蛇たちは何かの象徴であり、また蛇以外の何物でもない。いずれにしても危険極まりない。触れたくもない。だから文字で読む。2025/11/05

キク

26
「私はここに私としているのだが、私の存在の中核のようなものはここから離れていて、もうこの世界には属してはいない」と主人公に語らせる中村は、虚無や絶望をじっと見つめている。それなのに、毎作のあとがきで「共に生きていけたら嬉しい」と読者に語りかける。そんな歪んだ在り様の中村が好きだ。たぶん、僕の歪みかたと似ている部分があるから。それを「僕のなかに中村がある」というほど図々しくはない。ただ「中村は僕の個人的な作家だ」だとは思う。村上春樹と中村文則の作品は、死ぬまで必ず追い続けることになると、僕はわかっている。2025/11/18

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