内容説明
「はろー、愛ちゃんだよ」18歳のオープンリーゲイ愛は、「失恋」をきっかけに動画配信を始める―。約10年にわたる“モテる”人生の軌跡。愛ちゃんの年下の幼馴染・太良のキャンパスライフ「太良の法学ノート」を同時収録。第5回氷室冴子青春文学賞大賞受賞作。
著者等紹介
宇井彩野[ウイアヤノ]
2023年、「愛ちゃんのモテる人生」で第5回氷室冴子青春文学賞大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chiaki
27
第5回氷室冴子青春文学賞受賞作。シスジェンダーでゲイであることをオープンにしている愛ちゃんの10年。性的マイノリティに対する偏見を目の当たりにしたり心無い言葉を浴びせられながらも、恋にはしゃぎ傷付き、ファッションを楽しみ、自分を発信する愛ちゃんがたくましい!生きづらい世の中を堂々闊歩する愛ちゃんがかっこよく、人を惹き付ける魅力を感じます。妙に鋭く可愛かったタロちゃんがだんだん成長していく様子も親のように見守ってしまう。そんな法学部生となったタロちゃんのスピンオフ『太良の法学ノート』も良き。対象は高校以上2025/01/17
まる子
24
第5回氷室冴子青春文学賞大賞作品。フェムゲイ、ノンバイナリー、ミスジェンダリング、プログレス・プライド・フラッグと新しい言葉を知った。フェム、シスジェンダー、そしてオープンゲイの愛ちゃんの15歳から27歳までにあった友達やラジオ、そしてゲイとしての恋愛をオープンにした物語。時にあれは性的虐待で裏切りであったかもしれない。そんな中でも自分を見失わずにいた愛ちゃんだからこそ辿り着けたモテる人生。なるほど!様々な人との関係も読みどころ。愛ちゃんだからこそ、みんなをハッピーに✨2025/02/01
kosmos
15
ゲイであることをオープンにしている愛ちゃんの、15歳から27歳まで。好きなファッションを楽しみ、友情を育んで、恋をして。傷ついた時に自分の気持ちや違和感と向き合い、それを言葉にできる愛ちゃんは素敵な人だ。お母さんや幼馴染の太良との関係性も良い。軽やかで明るい雰囲気の作品だけど、偏見の目で見られて嫌な思いをすることも多く描かれている。もっとしっかり色々考えていこうと思った。愛ちゃんがこれからも楽しく幸せに生きていけますように。2024/12/15
練りようかん
14
氷室冴子賞きっかけ。近しい人には恵まれるが男運だけは難だったゲイの愛ちゃん。尊重されない、バイアスのかかった言葉の数々にモヤモヤ。しかしよく言った!と思うシーンもあり、善意からくるアウンティングは気をつけようと心に留め勉強になる部分も多かった。人物背景による編つなぎが上手く、前編でステイになった思い出し怒りの対処問題に対し一つの答えを出す構成が良い。同性婚訴訟、共同親権、子どもの権利条約など法整備に対する提起もあり、連帯と抗議の手段を日々考える“不断の努力”という言葉が拡大して迫ってきたのが印象的だった。2025/04/04
ぽて
10
小学生の時から、周りには、生物学的に女性で恋愛対象が女性、生物学的には男性で心は女性など様々な友達がいて、それが当たり前でマイノリティだと意識することすらなかった。社会に出ると、特別なこととして取り上げられすぎているように感じる。差別があったり、私は理解があると強調している人がいたり、なんだかむずむず、違和感がある。居心地良く過ごすことができる世の中はまだ遠いのかな。でも、周りに自分を知りたいと思ってくれる人が1人でもいればやっていけるのかもな、とも思う。2025/02/11