内容説明
「友おじさん、どうして人は色とかお金とかに目がくらむの?」「人はいつだって、今の人生をとにかく変えたいと思ってるからだよ。」目に見えないものが見える中学生のキヨカと、近所に住む友おじさんの、ささやかだけれど大切な連帯。暮らしの哲学が詰まった最新長編!
著者等紹介
吉本ばなな[ヨシモトバナナ]
1964年東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、95年『アムリタ』で紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞、22年『ミトンとふびん』で谷崎潤一郎賞を受賞。著作は三〇か国以上で翻訳出版され海外での受賞も多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
226
吉本 ばななは、新作中心に読んでいる作家です。 本書は、下町サイキック群像劇、著者は新しい方向に踏み出せたとのことですが、あまり新鮮味は感じられませんでした。 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309031958/2024/08/27
ウッディ
104
霊感が強く、場の気をきれいにする能力がある中学生のキヨカ。離婚した父の無理心中未遂などの出来事があるが・・。悪い気が見えるからこそ、自分の心、町内をはじめ自分の身の回りをきれいに保つキヨカの心持が前向きで、好感が持てます。母や友おじさんなど清々しい大人がいて、下町の緩やかな繋がりの中で、質素に暮らすことの幸せ。お金や物がなくても、いやそれがないからこそ、気を美しく保てるのかもしれない。おどろおどろしい内容になりそうな設定を清々しくハートウォーミングな物語に仕上げたのは、さすがばななさんという感じでした。2025/05/16
ひさか
104
noteよしばな書くもん:ドライヤー、清濁、ぼたんどうろう、書き下ろし:婚活、エピローグ妊活、の5つの連作短編に大幅に加筆修正し、あとがきを加えて2024年7月河出書房新社刊。見えないものが見えるキヨカちゃんと土地に根付いた人々の出来事ファンタジー。読み進めていると、超能力に頼らなくても大丈夫なんじゃないの?と思えるエピソードがあって、あとがきで「下町ルール」という話があって、ははーん、人を人と認識して、暮らしの事情が理解しやすい世界のことかと、少しはわかったような気になりました。憧れの世界です。2024/09/29
nonpono
92
吉本ばななの小説。NHKの特集も良かった。エッセイでの自分は発達障害の告白やテレビで大切なこととして、「週に1回は自分をメンテナンスすること」に影響されマッサージに行ったら楽になった。本書は中学生のキヨカの日常。「ドライヤー」が好きだな。離婚して街で1番の美女に惚れた父。なぜこの言葉が題名になるかはあえて書かないが、「使い方」を間違えてはいけないらしい、何事も。それからみんなで水餃子をつくる場面。昔から食のシーンはうまいと思うがやはり印象に残る。吉本ばななを夢中になって読んだ中学生の自分を思い出しながら。2025/02/22
ナミのママ
90
作者らしいスピリチュアル色がたっぷりと含まれた作品。下町の狭い空間が舞台だが様々な要素が詰まっている。主人公のキヨカは中学生、他の人には見えないものが見えて感じる。でもそれが全然不思議ではなくて「こういう第六感みたいなのってあるな」と思ってしまう。時系列を追う連作短編には家族のこと、町の住人、亡くなった人、出会いが書かれている。決して軽い事象ではないが、それらをどう解釈するか、乗り越えれるかが登場人物たちの言葉に乗って穏やかに綴られていく。読後は心がふっとあたたかくなる。2024/08/16