内容説明
19世紀末アメリカ。死を求める魔女は、処刑用電気椅子を用いたショーに臨む。(「ニューヨークの魔女」)。子育て体験キットを育てることになった同性カップルの(非)日常。(「私のつまと、私のはは」)。その夏の日、女性は電信柱と激しい恋に落ちた。(「電信柱より」)。大戦のさなかに出会ったふたりの少女をつないだものは嘘だった―。(「嘘つき姫」)。新鋭・坂崎かおるが紡ぐ、珠玉の9篇。
著者等紹介
坂崎かおる[サカサキカオル]
1984年、東京都生まれ。2020年、「リモート」で第1回かぐやSFコンテスト審査員特別賞を受賞後、多くの文学賞やコンテストで受賞・入賞を果たす。本書が初の単著となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オフィーリア
54
それぞれが独得の雰囲気を持つ9つの多彩な短編集。どの短編も唯一無二の世界観、淡々と描かれるその不思議な世界に読んでいて自然と惹き付けられるけれど、どこか突き放されたような寂寥感が何とも言えない余韻を残す。素敵な短編集でした。2024/06/02
なっぱaaua
47
不思議な読後感でした。著者初の単著とのこと。9編の中短編集で百合っぽい話もあればファンタジーもある。「私のつまと、私のはは」「あーちゃんはかあいそうでかあいい」「嘘つき姫」が好み。「私のつまと、私のはは」子育てが大変というただそれだけの話ではなく二人の育った環境も影響している。「あーちゃんはかあいそうでかあいい」歯の話。背中がぞくぞくする感じ。恋愛なのか不気味な何かなのか。「嘘つき姫」嘘に嘘を重ねた戦時中の話。二人はもっと幸せになれなかったか。ぞわぞわする話が多かったです。2024/05/26
ぽてち
36
読売新聞の「エンターテインメント小説月報」および「本よみうり堂」に取り上げられていた1冊。両方で紹介された本は記憶になく、絶賛に近い評価で期待は高まる。著者の坂崎さんは2020年に「リモート」で第1回かぐやSFコンテスト審査員特別賞を受賞したのを皮切りに、数々の文学賞を受賞している。本書は初の単著で9篇が収録されている。が……。うーん、つまらなくはない。さすがに。ただ、そこまで優れた作品だろうかという疑問はある。単に好みじゃないだけかもしれない。読んだ端から忘れていき、曖昧な印象しか残らなかった。残念。2024/06/04
信兵衛
20
いやはや、何と多彩な趣向の作品集であることか。 これはもう、是非読んでおくべきでしょう。 収録作品は皆、短篇、掌篇といったものですから、舞台設定が十分に説明されていない処もあるし、結末がはっきりしないままという篇もあるのですが、だからこそ瞬間的な魔法を見せられているようであり、魅せられ、また惹きつけられます。 魅力というより、魔力と言った方が良いのかもしれません。2024/05/10
遙
17
またも現れた鬼才。各話が残酷さをおびて、時や次元を超え、後味の悪さで締めくくられています。 そこに答えはなく、こんな事例があり、このように終わりましたという物語が語られていくようですが、 そのどれもに独自の世界観があり、著者さんは現代ものからSF、国境を超えた作風まで存分に書けるお方なのだと認めざる負えないクオリティです。今後どのような"名作"はたまた"迷作"を生み出されるのか、 注目の作家さんになり得るかも。 [私のつまと、私のはは]が好きでした。2024/04/09