出版社内容情報
一九一二年三月。「わたし」は「神」と出会った……「バレエ・リュス」のエース、ワツラフ・ニジンスキーに。いま、ロモラ・ド・プルスキーの波乱に満ちた壮大な物語が幕をあける。
著者情報
1982年、東京郊外生まれ。法政大学文学部日本文学科卒業、一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了。著書に『ベートーヴェン捏造』『ベートーヴェンの愛弟子 』がある。
内容説明
恋なのか?推しなのか??1912年、バレエ・ダンサー。1958年、宝塚歌劇団男役。2人のスターに焦がれて生きた女性・ロモラの半生を描く傑作長編!
著者等紹介
かげはら史帆[カゲハラシホ]
1982年、東京郊外生まれ。法政大学文学部日本文学科卒業、一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了。本作が単行本として刊行される初の小説(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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練りようかん
12
表紙きっかけ。結婚したい。一目惚れしたトップダンサーに近づくため入団を希望するブダペストのお嬢様。いや無理でしょ、できちゃったよ。うん、うん、え?の三拍子が続く展開で途中ウルフやココ・シャネルが支援したバレエ団とあり、史実の人物と認識するが劇画のイメージで読み進めた。解雇、独立、妨害。妊娠中不安で弱るかと思えば奮い立つ、彼女の強さと行動力は運命の嵐級。妖艶で両性具有の神は夫より彼女の方なんじゃと思えてくるのが面白かった。彼女が河合隼雄に問うたことが頭に残る、彼女は運気を吸い取る人だったのではないか。2024/06/12
べあべあ
8
伝説的舞踊家ニジンスキーの妻、ロモラの物語。私はかなりのニジンスキー好きで、ロモラに同情はするし夫の治療への熱意には感謝しますが、既に彼女には色々とうんざりしてました。この小説自体は良い作品で、彼女が中性的存在を好む同性愛気質という掘り起しは意義深いとは思うのですが、私自身の問題として、ロモラにレズの恋人がいようがヅカのトップに入れあげようが、強い興味は持てませんでした(ごめんなさい)。ロモラではなく、なぜワッツァがロモラに求婚したのか、の究明の方が一億倍は興味ある。。。2024/01/13
renren
6
まだ「推し」概念がないころ。ある日推しに出会ってしまい、渦巻く感情を唯一言語化できた「結婚したい…!」のままにぶっ飛んだ行動力を発揮し、ついに推しを手に入れた少女の一代記。単なる小説ならウソやろってところが、本当にあった物語というからすごい。ニジンスキーの妻ロモラ(山岸漫画で「ウィ!ウィ、ムッシュ!」って答えてたあのお嬢様)が晩年宝塚を推してたとは。ニジンスキーという鬼才が平凡な少女を間違って伴侶に選んだような印象もってたが、どうしてどうして、この人も違った方向の鬼才だった。事実は小説より奇なり。2023/10/19
とんとん
5
ものすごい参考資料をもとに書かれたエンターテインメント。ニジンスキーに憧れた女性の話(フィクション)かと思ったら…!最後に河合隼雄が出てくるのにも驚いた。こんな女性がいたのだな。2023/05/28
あざすたしあ
3
ニジンスキーに憧れたハンガリーの貴族の娘ロモラの推し人生を描いた伝記ロマン小説。ロモラは彼と会うために同じバレエ団に入ってしまうほどアクティブなタイプのミーハーな女性。しかし実際に彼と結婚してからの生活は意外な方向に転がり出す。そして後半生ではタカラジェンヌにハマってしまい・・・自由に萌えて推したロモラ、でも女性が自由に生きること自体なかなか困難な時代だったことを思うと、力強く生きた人だなという印象も受ける。いわゆる著名人を支えた良妻物語ではないところが面白かった。2023/05/31