出版社内容情報
「フラヌールしよう」メリが言う。そして僕たちはゆるやかに街へ飛び出す。フラヌールフラヌール。奥へ奥へ。メリとジュンに導かれながら詩歌溢れる日常(小宇宙)を巡る、最高の連作小説。
著者情報
1959年生まれ。小説家・文芸評論家。85年、第1回幻想文学新人賞を受賞しデビュー。96年、群像新人文学賞評論部門優秀作を受賞。近著に『高原英理恐怖譚集成』『エイリア綺譚集』『日々のきの子』がある。
内容説明
詩歌を巡るゆるふわ探検散歩小説。
著者等紹介
高原英理[タカハラエイリ]
1959年生まれ。立教大学文学部日本文学科卒業。東京工業大学大学院社会理工学研究科博士後期課程修了(価値システム専攻)。博士(学術)。1985年第1回幻想文学新人賞受賞。1996年第39回群像新人文学賞評論部門優秀作受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カフカ
64
メリとジュンが街に溢れる詩歌を探しにフラヌール(遊歩)する、ゆるふわ探検散歩小説だそう。ゆるふわ探検散歩小説とはなんぞや?と思っていたら、読んでみるとまさにゆるふわ探検散歩小説だった(笑)2人でフラヌールしながら色んな詩歌に出会うのだけど、高原さんが選ばれた詩歌というだけで胸が熱くなる。好きな作家さんの好きな本や作品って、その方の頭の中を覗き込むようですごく興味があるのですよね。ひとまず「左川ちか全集」は読まねば…! 2023/03/02
ルカ
50
『フラヌール』とは『遊歩者』。タイトルの通り、メリとジュンが詩歌を求めて遊歩するのだが、こんな自由な文章の小説は初めて。出会った詩を読んで、感想はいいね〜で良いの。その時の自分にグッと来るかどうか。ふわふわ出かけて目に入るものを自由に声に出す。この詩を思い出した、いいね〜。詩ってとても自由なんだ。それを体感した、軽快で奔放な本だった。2023/07/14
rosetta
29
★★★☆☆このタイトルからは詩人が探偵役なのかな、それとも詩歌を巡る探偵なのかな?と思ったらどちらかと言うと後者の方だった。と言っても真剣にしゃかりきに探偵するのではなく、緩やかに詩歌の周りを逍遥するって感じ。そもそもフラヌールが遊歩するって意味だし。メリとジュンの二人が想像の街を詩歌を追ってふらりと歩き回る。なんかこの二人が、ネットスラングをやたら多様するんだけど小さな妖精みたいで可愛い。200頁で八編の短編集。読み通すだけじゃなくて手元に置いて時々読み直したい本だけど、2500円は高いなぁ。2023/02/05
真琴
12
「フラヌールしよう」と詩歌を巡りふるゆわ探検するメリとジュン。フラヌールとは、ベンヤミンの『バサージュ論』に出てくる言葉で、「遊歩者」という意味だそうです。フラヌールしながら、様々な詩歌を探し出す。萩原朔太郎、大手拓次、ランボー、ディキンソン、最果タヒ、佐川ちか。私もフラヌールして詩歌に出会いたい。(佐川ちかさん気になります)楽しく読めました。2023/01/30
ゆう
11
分厚い紙を贅沢に使用した本だったので、少ししか読んでいないのにあっという間に前に挟んだスピンから離れてしまい、読み終えるのが惜しかった。地文がジュン目線のゆるい話し言葉なので、私も二人に同行していた気分だった。会話の軽快さと文学に関連するものをぶらぶら探すフラヌール〈遊歩者〉がマッチしていて、とても楽しそうだった。日常も見方によって非日常になるのだ。彼女たちのように詩歌の抽斗をもっと多くしたいので、本作の引用文献をあたりたい。現実世界で読書のお話ができる、しかも趣味の合う友人がいるのは羨ましい。2022/12/20