出版社内容情報
森繁 久彌[モリシゲ ヒサヤ]
著・文・その他
内容説明
1981年8月、向田邦子、飛行機事故にて死去(享年五十一)。衝撃、悲嘆、慟哭から、時を経て思い出話へ。遠藤周作、久世光彦、倉本聰、黒柳徹子、沢木耕太郎、山口瞳、山田太一ほか、24人による向田邦子に捧げるエッセイアンソロジー。
目次
寂しいときに、君は舞う癖があった(森繁久彌)
向田さん界隈(倉本聰)
雁の別れ(久世光彦)
木槿の花(抄)(山口瞳)
三角波(風間完)
向田邦子を読む 読書日記特別版(江國滋)
名人(山本夏彦)
向田邦子さんのこと―『思い出トランプ』を読む(水上勉)
心に残るエッセイ(向田和子)
意地悪な目(抄)(車谷長吉)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
94
私にはいくら本を処分しても、残る本がありその一冊が「思い出トランプ」だ。 この本を初めて読んだのは向田さんが亡くなってからだと確か覚えている。 どの話も好きだ。他に多くの名作を書かれた彼女と交友のあった方の、追悼文や思い出。直木賞を受賞してさあこれからというとき突然消えてしまった。世の中、もしということを言ったらキリがないが。もし存命されていたら一体どんなどんなドラマが書かれて、誰が 有名俳優として現れたり活躍しただろう。そんなことを考えながら読み終えた。図書館本 2025/06/01
じいじ
69
向田邦子さんとの親交の深い人たち24人が綴ったエッセイです。とにかく向田さんの死が、台湾の航空機事故だったと言う予期せぬこともより衝撃だったようです。演者の立場で寄稿した森繁久彌によると、向田さんはうるさ型の役者・森繁爺さんを相手にしても、決して物怖じすることなかったようです。また、いまだ北海道旭川で活躍する倉本聰の向田想い出は、迫力があり面白かった。訃報一報のついでに「明日までに、向田さんへのお悔やみの言葉を…」と言いたい放題の新聞社に「断る」と電話をきった。倉本聰夫妻⇔向田邦子のもっと深かったのです。2025/06/14
ぐうぐう
39
向田邦子にゆかりのある人々の、彼女に宛てたエッセイを収録した『親愛なる向田邦子さま』。事故直後に書かれたものもあれば、没後何年も経ってからのもの、そして生前に書かれたものもある。巻頭には向田の才能を早くから見抜いていた森繁久彌のエッセイが配置され「歴史モノの大作を書く作家ではなくて、人間がポロポロ落としてゆくモノを書く、云うなれば世話モノの大家である」と称していて、「人間がポロポロ落としてゆくモノ」という表現が森繁らしく、また向田の作品を的確に捉えた表現だ。(つづく)2022/10/11
ぼりちゃん
23
向田邦子さんと親交のあった方たちが、向田さんのことを綴ったエッセイ集。沢木耕太郎さんも書かれていて、向田さんと親交があったことを初めて知った(『恐い蟹』)。森繁久彌さんによる墓碑銘、倉本聰さんや山田太一さんといった脚本仲間、黒柳徹子さんの留守番電話をめぐる思い出にしんみり。有名らしき山本夏彦さんによる『名人』や山口瞳さんの『木槿の花』も知ることができた。脚本という消え物を生業にするゆえに、残るものへの執着を見せたらしい向田邦子さん。今なお読みつがれる向田さんの本を、近く私も読みたいと思います。2025/05/03
真琴
9
向田邦子さんの友人や仕事仲間、ご家族など26人が、彼女との思い出を綴ったエッセイ。2022/10/12