出版社内容情報
鎌倉殿・源頼朝の実弟であり、義経の実兄・範頼の波乱の人生を描く。幕府草創期に安定を求めれば、そこにあるのは内なる敵であった…
内容説明
源義朝が平清盛に滅ぼされて二十余年。遺された源氏の子らは、武士という存在の意味を求め、強大な平氏を滅ぼさんと立ち上る。帝の軛を離れ、武士の国を創ろうとする源頼朝。帝とともにあろうとする源義経。二人の狭間にあって、源範頼はただ友を守るため、兄を、そして弟を殺すべきか、その答えを探しに天朝始まって以来最大の戦いに身を投じる。
著者等紹介
森山光太郎[モリヤマコウタロウ]
1991年熊本県生まれ。2015年立命館大学法学部卒業。幼少期より、大伯父から歴史の手ほどきを受け、2018年『火神子 天孫に抗いし者』で第10回朝日時代小説大賞を最年少受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mitubatigril
7
頼朝の異母弟の範頼は微妙な立場に立っていた。 幼い頃から源氏の御曹司として崇められつつ、父は政変で亡くし自身は身を隠して育ち 自分はどんな人間なんだと考えながらも仲間といえる家臣と共に生きれるならと隠れてた才を発揮して範朝ここにありと知られて兄頼朝から側に仕えることに 表面では頼朝の弟君と持ち上げられるも監視の目が常にあり 最初から分かっていた兄頼朝の本音 範朝の運命は… 頼朝の猜疑心の強さは、いろんな作品に出ているし義経との対立は有名で色んな作品に出ているがまた違った頼朝像に中々面白く感じた。 2021/12/03
ずみ
3
副題のとおり、源範頼を主人公とする鎌倉幕府の草創を記す物語。源範頼を凡庸な将ではなく敢えて爪隠す鷹として描くところに面白味の核がある。/時節柄、義経や義時の物語上の立ち位置に大河ドラマへの目配せがあった気もするが、それよりも範頼の視点で源平合戦を捉え直す意欲に存分に楽しませてもらった満足感が大きい。「弟切抄」とは、範頼視点の自虐というよりも、身内を殺し続けることで政権の安定化を図った頼朝(=鎌倉政権)への俯瞰図と読んだ。そこにも無常はあり、冒頭の祇園精舎の鐘の声が全編に響くのである。2022/04/29
ekoeko
3
源範頼の物語。印象的なのは平知盛の「並び立つ平穏を願ったが・・・願うほどに届かぬものだな」という言葉。2021/11/06
nonbiri nonta
1
学校で習う日本史では脇役というかほとんどでてこない人物を主人公にする作品が最近多いが、本作では鎌倉幕府創設期を舞台に頼朝でも義経でもなく源範頼を主人公に据えた。 確かに範頼が有能だったか無能だったかも含めてよくわからないが、数多い兄弟の中で義経と並んで最前線で大将として平家と戦ったことを考えるとそれなりの人物であったのかとは思われ、義経との運命の分岐やその最期を考えると範頼を主人公とした物語はもっとあってもよいのかもしれない。 本作では範頼を支えた一族として小山氏が描かれているがこれは史実なのかな?2022/01/12
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