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出版社内容情報
大阪へ来た人、大阪を出た人――かつていた場所と今いる場所が「私」を通して交差する。街と人の呼吸を活写した初共著エッセイ。
内容説明
大阪に来た人、大阪を出た人。『街の人生』『百年と一日』の著者たちによる街と時間の呼吸を活写した、初の共著エッセイ。
目次
地元を想像する(岸政彦)
港へたどり着いた人たちの街で(柴崎友香)
淀川の自由(岸政彦)
商店街育ち(柴崎友香)
再開発とガールズバー(岸政彦)
環状線はオレンジ、バスは緑、それから自転車(柴崎友香)
あそこらへん、あれやろ(岸政彦)
大阪の友だち(柴崎友香)
1995(岸政彦)
大阪と大阪、東京とそれ以外(柴崎友香)
散歩は終わらない(岸政彦)
わたしがいた街で(柴崎友香)
著者等紹介
岸政彦[キシマサヒコ]
1967年生まれ。社会学者、立命館大学大学院教授。著書に『断片的なものの社会学』(紀伊國屋じんぶん大賞2016受賞作)など
柴崎友香[シバサキトモカ]
1973年大阪生まれ。作家。2000年『きょうのできごと』でデビュー。07年『その街の今は』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、10年に『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞、14年『春の庭』で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
327
大阪を"精神"のルーツとする作家と社会学者が「往復書簡」のように交互にエッセイを連ねた、大阪アルアル集だった。気さくで朗らか、気取りのないざっくばらんさが売り、の大阪人。その懐の深さの陰には「暴力と貧困、差別」と同居している人たちがいた。大阪弁は意味の伝達よりも、会話を続けるためにある言葉、という指摘も面白かった。この30年の「大阪の没落」も描いているが、なんだかんだ言っても「やっぱ好っきゃねん」と言ってしまう魅力あふれる大阪があった。 2022/02/12
旅するランナー
231
作家柴崎さんが「わたしがいなくなった街」大阪で、社会学者岸さんが「わたしがやってきた街」大阪で過ごした日々を書き綴ります。大阪以外の人にはピンと来ない世界ではあろうが、コテコテの大阪だけではない、普通に鬱屈した青春時代も描かれ、共感できなくはないでしょう。映画や音楽に関する思い出には、そうだよねって思えるところもあります。ああ、懐かしの大毎地下劇場・毎日文化ホール...2021/07/02
trazom
166
大阪にやって来た岸さんと、大阪から出ていった柴崎さんのリレーエッセイ。馴染みの場所が多く登場して面白いはずなのに、何故か、寂しくて、悲しくて、やるせない気持ちになる。二人が語るのは日本経済が下り坂に差し掛る時代。時代の悲しさを大阪という町が象徴している。朝鮮半島や被差別部落や沖縄の人々が集まってきた大阪は「戦前から戦後にかけての日本の「社会問題」がすべて揃っている街」(岸)だった。でも、同時に「あほでとるに足りない一人の高校生だった私に、大阪の街はやさしかった」(柴崎)。そんなやさしさが悲しい一冊である。2021/03/19
hiro
109
「大阪へ来た」社会学者の岸政彦さんと、「大阪を出た」小説家の柴崎友香さんが、交互に大阪を語る共著エッセイ。大阪に興味がない人は、きっと手を出さない本だろうと思いながら読みだしたが、この本を読んで、大阪から出て戻り、出て戻りを繰り返し、もっと住みやすい所もあったにもかかわらず、嫌いなところも多いこの大阪に、なぜ今自分は住んでいるのかと考えた。有名な観光スポット以外の大阪のディープなところを知らない人にとっては、大阪全体を感じることができると本だと思うので、少しでも大阪に興味のある方にはおすすめです。2021/05/23
けんとまん1007
101
大阪。30年ほど前、2年間、住んでいた。何となく、その頃のことを想い出す。転勤で大阪・・・となった時、何となく、大阪でよかった・・と思った。実際、いい想い出がたくさん。いろいろな場所が出てきて、そうそう、行ったなあ~。やはり、そこで暮らしてみてわかることも多い。2021/10/08